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食の乱れが現代人を骨抜きにする!

 いま日本人の躰には畸形な変化が起こり始めた。
 この背景には、栄養学者が、食品業者に口裏を合わせて、「肉を食べると健康に良い」と暴言したことから始まる。この結果、庶民までもが食肉へ奔ったことに元凶があった。

 今日、現代栄養学者の言は、至る所で脚光を浴び、こうした権威に耳を傾ける人が多くなった。そして権威筋の言に従い、「肉食をしなければ、栄養のバランスを壊して病気になる」と思い込む人が多くなった。
 これが肉食万能主義の始まりで、つい最近では、こうした考え方が主流になって来ました。

 一方、正しい食事法として、欧米では穀物菜食に注目し始めている。
 ところが、世界がこのような動向をしているのにも関わらず、日本では未だ、グルメに明け暮れ、美食料理人の小手先に踊らされて、肉料理や高級魚料理が持て囃されている。この時代。動蛋食品は、既に否定された食事指針である。
 ところが自己の利益と、我田引水的な発想しかない政財界や関連企業は、その片棒を担ぐ現代医学者や現代栄養学者をお抱え御用学者に仕立て上げ、マスコミを通じて官民一体となり、「動蛋白摂取」の重要性を権威筋の立場で宣伝し続けている。
 そして何も知らない国民は、こうした権威筋の言葉に踊らされ、挙句の果てに難病・奇病を煩って、医療機関のお世話になると言う、何とも不可解な循環で、経済的相乗効果を作り上げているのである。
 今こそ、日本人の食体系を取り戻し、正しい食事法に帰らねばならない時が来ているのではあるまいか。



────日本の連綿として続いてきた食文化に振り返る────

 そもそも日本人は古代から、穀物菜食を伝統としてきた。
 しかし江戸時代に入ると、ヨーロッパ文化がオランダを通じて日本に持ち込まれ、やがて肉食の習慣が一部の富裕層で広まる。そして明治時代に入ると、食肉の需要は更に一般化し、牛鍋や鋤焼きと言った、肉料理が大衆に普及していく事になる。
 これが肉食万能主義の始まりで、つい最近では、こうした考え方が主流になってした。そして欧米型の食生活のあり方や、そのスタイルが日本でも常識化され、多くの日本家庭では、生活様式や精神思考までが欧米化の影響を受けて、それが正しくて、理想的なスタイルだと錯覚を抱くようになった。
 その結果、現代では、まったく過去には見れらなかった病気が蔓延
(まんえん)し、難病・奇病を作り上げ、欧米一辺倒の食生活で、「五人に一人」という病人を作り出した。しかしこうした現象の中で、食肉万能主義を排して、穀物菜食に切り替える思想が世界的な規模で広がり始めている。

 その一方で、「食べない贅沢」と言うものもある。
 こう言う時代だからこそ、美味しい物を食べたいだけ食べるのと同様、少食で粗食・蔬菜の食生活を実践することで、食べたいだけ食べないという「慎む贅沢」もあるのだ。
 昨今は食べ過ぎの害はよく言われているが、そうした医学的な観点は勿論のことであるが、もっと他の精神的および風流的指向の角度から、食に対して真剣に取り組んでもいいと思うのである。
 例えば、玄米のお粥と梅干し一つだけの食事を、三十分も一時間も懸けて味わうという風流があっていいと思うのである。
 果たしてこれは、油でぎらつく中華料理の大皿やローストビーフなどで彩りされたフランス料理と、さて、どちらが精神的には優雅であろうか。
 この格差に気付けば、美食に興じて、すべての腸や骨を腐らせる毒の危険に接近することはなく、「ほどほど」にしておけば健康を害することはあるまい。


●玄米正食の理論

 玄米正食の特長は、玄米正食を中心とした主食に、野草・海藻・小魚(近海もの)中心の御数(おかず)を基盤とした食餌法です。そして霊的食養道は、「身土不二」の思想をこの拠(よ)り所にします。
 人類が大自然から与えられた食物は、穀物と野菜と近海もの魚介類だけであり、これこそが人類にとって最も適した食べ物なのです。
 逆に、天地から許された以外の食べ物を食べると、それは宇宙の秩序や法則に反した事になり、病気や怪我や事故等の不幸現象を派生させる悪想念をつくり出す要因となります。

 人間の躰(からだ)を造る必要な栄養バランスは、穀物菜食によって摂取出来るようになっており、これ以外の食肉や乳製品や鶏卵等を食べると、血液は汚染され、身体の調和は崩されて難病・奇病が発生します。
 動物性蛋白質の血液汚染について、現在日本の現代栄養学は「動蛋白と血液汚染」の因果関係を一切認めていませんが、既にアメリカでは学術的にも権威筋から認知されつつあり、やがては日本でも認めざるを得なくなるでしょう。人間が健康体を維持していく為には、その栄養素であるタンパク質やデンプン、ビタミンやミネラル、鉄分やアミノ酸、脂肪等が必要ですが、これは動蛋白からではなく、植物性の食品でその殆どが賄(まかな)う事が出来るのです。

 一方、食肉に於ては蛋白質や脂肪分は多いものの、その他の栄養素は殆ど欠落しています。
 現代栄養学者は、植物性食品ばかり食べていると、栄養不足になり、これが原因で体を壊すと指摘しますが、それは正しい栄養学見知から言っても、何ら根拠がありません。
 むしろ肉食をする方が危険であり、肉類からタンパク質だけを摂取出来れば良いのですが、肉類は腸内で腐敗する過程において、硫化水素やアンモニア等の毒素が腸管からも吸収されてしまいます。また食物繊維がない為に、便秘をし易く、毒素の吸収は更に高まり、躰を一層不健康に傾けます。

 また、食肉には老廃塩が多く、以上挙げた毒素以外にも、エキシュール、プリン(purine)塩基、馬尿酸を含み、こうした毒素は血液を汚染させ、粘りを齎(もたら)して、痛風、神経痛、リューマチ、動脈硬化、その他の難病を招く事になります。その上、肉類の脂肪は、植物油に比べて硬化度が高く、その為に血管にこびり着いて、動脈硬化や高血圧の病因となります。
 こうして考えてくると、植物性食品は、栄養学的に見ても、動物性食品より優れている事が分かります。植物性食品の中には、玄米をはじめとして、粟(あわ)、黍(きび)、稗(ひえ)、麦といった五穀は、日本古来からの伝統食で、動タンパク中心の欧米風の食生活に溺(おぼ)れる日本人は、まず、こうした穀類に対する認識を改めなければなりません。


【主食】
 主食は、玄米に五穀類を混ぜた雑穀ご飯で、玄米の他に粟、黍、稗、蕎麦(そば)、ハト麦、玄麦、小豆、大豆、黒豆、ライ麦、玉蜀黍(とうもろこし)等の雑穀を充分に利用します。これはガン予防並びに治療を目指したものであると同時に、抗ガン作用もを含む食餌法としての主食です。
 そして、「玄米」対「雑穀」の割り合いは、体質や症状によって異なりますが、大体、「玄米60%」に対し、「雑穀40%」であり、場合によっては「玄米70%」対「雑穀30%」にしたり、あるいは雑穀対玄米の割り合いを半々にします。自然食療法を行なう場合、玄米100%は不可です。
 ガン抑制治療の食養の主体は、「雑穀ご飯」であり、食べる時には黒胡麻(くろ‐ごま)と自然塩少々を振りかけます。そして徹底的に、よく噛んで食べるということです。

 『霊的食養道』では、ガン抑制に当てる主食の食餌法を「第一号食」と言い、抗ガン対策として当てる主食の食餌法を「第二号食」と言います。
 「第一号食」の基本メニューは、玄米を主体にした雑穀ご飯粥で、状態に合わせてお粥(かゆ)にするか、重湯にするかを定め、お粥の場合は副食がシンプルな「梅干」(但し、胃癌の人や胃潰瘍の人は不可。一般には、梅干は胃癌を予防する働きがあると信じられていますが、胃癌の人が梅干を食べると、かえって胃の壁を荒らし、病状を悪くさせます)「たくあん」(黄色く着色されてないもの)「白菜漬け」「大根おろし」「バナナ」「りんご」等と言った物にとどめ、お重湯の場合は副食がつきません。
 そしてお粥、お重湯とも黒胡麻と自然塩少々を振りかける事が基本になります。いずれも、時間をかけ100回以上よく噛むと言う事が食し方の基本です。

玄米 玄米雑穀(玄米60%を主体にした他の赤米、粟、黍、稗、麦、ハト麦など)

小豆 大豆



●玄米ならびに雑穀ご飯の炊き方

 炊飯には水が不可欠です。玄米ならびに玄米を含む雑穀ご飯を炊く時は、まず水の良し悪しが問題になります。御飯を炊く時は、まずアルカリ性イオン水で、一回洗い、それから電気分解しない浄水で研ぎます。研ぎ終わったらアルカリ性イオン水で炊くのですが、研ぐ時にイオン水は遣わないようにします。
 理由は、イオン水の持つ高度な浸透力の為に、玄米ならびに雑穀に含まれるビタミン類の栄養分を溶かして、流してしまうのを避ける為です。
 アルカリ性イオン水を用いる時の注意は、非常に浸透力が高い為に、有益な栄養分までもを溶かし流すと言う欠点があり、これを避ける為に、研ぐ時は浄水を遣って研ぎます。
 また、大豆や小豆やその他の乾燥食品(乾燥ひじき、乾燥わかめ、干し椎茸など)を戻す時も、水道水よりは遥かに短時間で戻す事が出来、灰汁抜きや臭み抜き等にも幅広い範囲で、アルカリ性イオン水が応用出来ます。

 さて、玄米ならびに玄米を含む雑穀ご飯を炊く時は、多少面倒でも次の事を実行します。まず、一番目に一回だけアルカリ性イオン水で洗う。二番目に浄水で二回程度研ぎ、洗う。三番目に仕込みは、再びアルカリ性イオン水で行うという順序を守ります。
 ちなみに、アルカリ性イオン水の特性を知っておくと便利です。
 その第一は、豊潤作用があり、食品等を柔らかくする力があります。第二は溶解力の高さがあり、ものの中に浸透し、溶かし出す力があります。第三に熱伝導率の良さがあり、熱を早く伝える特性を持ち、一般の水道水より沸騰までの時間が短くて済み、経済的に言っても光熱費が安上がりです。

季節 旬 の 食 材 の 例 
基礎体力がつく 玄米等の胚芽食品は、胚芽にある粗蛋白や粗脂肪、更には外表部の食物繊維によって、腸内の有用微生物が増殖される。その為に胃腸を丈夫にし、食物成分に含まれるミネラルの作用によって血液を浄化する為、この結果として基礎体力がついてくる。
自律神経が安定する 玄米菜食等を中心として、主食を小豆や大豆やその他の雑穀を混ぜる事で、ストレスに対する抵抗力がつく。こうした抵抗力がつけば、自律神経系の機能が健全化する為、自律神経の支配を受ける血管の機能が健全となる。血管の機能が健全となると言う事は、血管本来の弾力性が保持される為、高血圧や動脈硬化が予防できる。
 また霊的にな、外邪や邪気による憑衣・憑霊現象から幽体や霊体を護る事が出来、精神障害に罹らないようになる。
便通が整う 穀物や野菜には豊富な食物繊維が含まれていて、腸壁を刺戟し、便通を滑らかにする働きがある。したがって腸粘膜も健全になり、栄養分の取込みがスムーズに行なわれる為、栄養のバランスがとれて来る。
思考力が増す ビタミンやミネラル等の有効微量成分が充分に補給される為、頭の働きが活発になり思考力や判断力が増し、「考える」という事が習慣づいて、痴呆症の予防になる。先見の明が増し、霊的には、「見通し」が良くなる
消ガン作用を顕わす 玄米菜食によって質の良い赤血球がつくられる為、血中に入り込んだ公害物質を排除する働きを顕わす。また血液の浄化を齎す為に、発ガンしにくい体質が得られると共に、ガンの治癒が促進される。更には体細胞組織に炎症を起りにくくし、腫瘍等の慢性炎症がある場合、これを解体する効果がある。
 そして霊的波調が高くなる為、外邪や邪気に憑衣・憑霊されない霊的神性を持つ事が出来る。ガンは一種の憑衣現象である事を忘れてはならない。