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●体内浄化と病毒素を排泄する喜び

 人間が断食をすると、胃の状態はどうなるかと言う事をお話しましょう。
 断食して6、7日目頃から、腹部がへこみ始め、この箇所のくびれが確認されます。また、下垂していた胃が、腹筋によって押し上げられます。

 一般に言う「腹が出ている」とは、小腸や大腸の周りについた脂肪塊や、下垂している肥大している胃も含まれるのです。胃が所定の位置から下がり、脂肪を纏(まと)った大腸や小腸の上に胃が重なり、太鼓腹のようになってしまった状態が、「腹が出ている」と言う事になるのです。
 したがって断食をしますと、胃が空虚になりますから、拡張・肥大していた胃は縮小します。これまで肥大して重くなり、垂れ下がっていた胃は、安定を求めて、元の位置に戻ろうとして復元運動を起こします。
 しかし断食すれば、胃は収縮しますから、吐き気を催し、胸のムカムカや腹痛が起ります。中には、激しい嘔吐(おうと)を伴う人がいます。食事をしないのに、吐き出す物質が胃の中に残っているのは何とも不思議なものです。
 嘔吐の現象は、普段から大食漢で、飽食や過食に浸っていた人や、肥った女性に多く見受けられます。同時に、こうした人達は、平素から非常に臭い口臭を吐いているものです。
 口臭のきつい人は、大食漢や過食傾向にある人ばかりでなく、胃下垂で痩せた人も、非常にきつい口臭をしています。

 特に、「痩せの大食い」といわれたり、「喰っても喰っても肥らない」と自慢している人は、大抵の場合が胃下垂症であり、胃が異常に下方に垂れ下がる疾患を抱えた人です。ケーキなどを食べても肥らないと自慢している女性は、大きな考え違いをしていて、大抵の場合、「極度な胃下垂状態」にある人です。肥らないと言うこと事態が、既に「赤信号」なのです。食べ過ぎたら肥るというのが、正しい代謝反応であり、食べても食べても肥らないと言うのは、既に異常が現われていて、これ事態が危険信号と言えます。その証拠に、異常な口臭が感得出来ます。
 胃下垂は、胃アトニー(胃拡張症を含む、体組織などの弛緩(しかん)や無力症で、意志的には無気力)とともに、無力体質に多く見られ、しばしば他の内臓下垂を伴います。そして胃部の重圧や膨満、食思不振のほか、頭重や偏頭痛、不眠など種々の神経症状を呈し、大食が転じて、拒食症などの精神障害も顕(あら)われて来ます。
 また、内臓感覚の異常があげられます。

極度の胃下垂。飽食に明け暮れる時代の、一日の四食や五食の過食や暴飲暴食が原因。胃下垂とは、胃の収縮筋が大喰いで疲労し、弛緩状態になっている事を言う。(X線写真) 断食前の胃下垂状態。「痩せの大食い」に見られる胃下垂症。「喰っても喰っても肥らない」と言うのは既に内臓感覚の狂いに問題がある。(X線写真)

断食二週間で正常に戻った胃。断食をすると胃が空っぽになり、空虚の胃は収縮を始め、骨盤まで下がっている胃も縮小とともに上昇し、元の位置に治まる。(X線写真) 断食後に縮小した胃の状態。胃は一時的に断食のよって消化作用が無くなるので、ひと休みして縮小し、正常な位置に戻る。(X線写真)

 内臓感覚の正常な、健康時には食欲・空腹感・渇き感・悪心・尿意・便意・性欲などが感得されます。
 しかしこの感覚が狂い、内臓に異常が発生すると、圧迫感・膨満感あるいはシコリを伴う痛みとしてこれが現れ、違和感が生じます。これは幾つかの神経要素が総合的に働く為に、局在性が判然せず、また、しばしば体表の特定部位にも「連関痛」(相互に連関した痛み)などを伴います。
 この連関痛に伴い、痩せの大食いの人は、「非常に口臭が臭い」と言う事が上げられます。しかし内臓感覚の狂いは、嗅覚神経までもを麻痺(まひ)させ、自分の「息臭さ」が、自分で感得できないと言う異常性を抱え込んでいます。胃が悪いと言う事は、胃の異常で発生する胃壁内の匂いが原因であり、口腔の口臭よりは、胃を傷めての匂いである場合が少なくありません。
 内臓感覚の異常は、自己の意識下にも顕われ、「大喰い」と「拒食」が交互に繰り返されて、少しでも食べれば、「食べた」という自虐的(じぎゃくてき)な責め苦から、肥ってもいないのに「自分は肥っているのではないか?」と疑い始めます。これが拒食症と言われるものです。

 拒食症は食事を拒む病的な状態を指します。思春期の女性に多く好発する病気です。
 神経性食思不振症(思春期やせ症)は、極度の不食と高度の「やせ」を主な徴候とし、強い肥満嫌悪があります。これは心因的背景によるとされ、食事を拒み続け、やがては死に至ります。拒食症で死んだ、アメリカのフォーク歌手であったカーペンターズ(コネティカット州ニュー・ヘイヴンで1946年10月15日に生まれたリチャードと1950年3月2日に生まれたカレンの兄妹デュオ。「遥かなる影」「トップ・オブ・ワールド」「プリーズ・ミスター・ポストマン」の3曲は、全米トップランキングNo.1を記録した。カレンも体調を崩しがちになっていたが、この頃、まだ誰も彼女が「拒食症」に犯されているとは気づかなかった。その後異変に気づいた家族の薦めで治療を始め、80年には結婚し、回復に向かっているかのように見えたカレンだったが、83年2月4日、ダウニーの自宅で心臓発作で倒れ、帰らぬ人となった。32歳という若さだった)の、カレン・カーペンターの死は、私たちの記憶に、今もなお生々しく残っております。
 食べ物に対する嫌悪と、そこから起こる拒食。そしてこの元凶は、内臓感覚の異常に端を発します。

 内臓感覚異常は、その元凶が「胃」であり、食事の量を感得する満腹中枢を破壊されると、その異常は顕著に顕われます。症状としては「食べ過ぎているのではないか」「肥り過ぎているのではないか」あるいは逆に「食べても食べても肥らない」などの異常感覚で、また、食肉や乳製品の食べ過ぎで、異常性欲が起り、過剰な性的欲望と排泄障害に襲われます。同性愛やSMプレイ、あるいは不倫などと言った、人道に背く歪んだ肉愛は、すなわち内臓感覚の異常に関連し、その禍根となっているのが「胃」であると言えます。
 統計によりますと、同性愛者や異常猟奇趣味者の大半は、胃に何等かの障害を持っているとも言われます。

 胃は命の「イ」であり、胃の狂いは性的欲望を狂わし、排泄機能障害を齎(もたら)します。また昨今は、アメリカ流の恋愛術が常識化され、愛情イコール肉欲に浸る事と言う、動物的な感情で人間に接する事が愛情だと信じられている為、セックスを行わないと愛情表現に欠けるのではないかと言う錯覚を抱いた男女(老若男女を問わず)が多く見受けられます。
 しかし、こうした錯誤も、愛情に対する考え違いも、「胃の狂い」から生じたものと言えましょう。そして胃を狂わせる禍根は、何と言っても動蛋白の摂取です。



●過食と飽食の中で胃を狂わせている現実

 現代人は、過食の時代にあり、一日四食が常識になり、飽食に明け暮れ、誰もがグルメを気取り、何かにつけ食傷(食いあきることで、常に何か他に美味しい物はないかと探し求めること)に冒されています。この食傷がまた、肉体のみならず、精神までもを狂わせます。
 異性の性を求め、同性の性を求めます。あるいは幼児趣味のロリコン(ロリータ・コンプレックスの略で、性的対象として少年少女・幼児を愛すること)へと趨(はし)ります。こうした「狂い」の最初が、鼻につく、胃から上がって来る「口臭」です。胃下垂の人に、変質者や、妄想を抱く人の割り合いが多いとも言われています。

 また、過食から性腺に異常を来し、常に発情状態になってセクハラを企てたり、ストーカー行為に趨(はし)るバーチャル恋愛ゲームのゲーマーも悪戯電話の常習犯も、大半が胃下垂症を抱えた人であり、胃に負担を抱えています。一日の裡(うち)に、せわしなくスナック菓子や、食事の他にも、多くの間食を摂って、胃を一時も休ませない人が、「胃の狂い」とともに、心までも、狂わせていると言う現実があります。したがって、胃の病気を抱えている人は性格的に神経質で、一方陰湿です。

 私たちはその日の夕食時から、朝食を摂っている人は、翌朝の朝食時まで約12時間、また朝食は摂らず、昼食から始まる人は約17時間を断食する事になります。この際に感得する感覚は、口の中が臭く、ネタネタしている感覚を感知します。
 人はたった、これだけで口臭を伴いますから、食傷に冒されている人は、尚更の事であり、口臭は非常に激しい匂いを伴います。これは胃の異常であり、また空腹時に「ゲップ」が出るのは、胃を傷めていると言う証拠でもあります。

 このような食傷に冒されている人が断食をすれば、次ぎのような「匂いの異常」が感じ取れます。

胃の異常から顕われる口臭
普段より大酒呑みで、呼気が酒臭い人は断食三、四日目頃から、アルコールの腐ったような呼気を吐く。 アルコール性臭気
普段より喫煙し、一日に20本以上を喫煙するヘビースモーカーは、三日目頃から、呼気がヤニ臭く、舌コケが黒くなって、吐き気を催す場合、真っ黒なヤニを吐く人もいる。あるいは痰(たん)の中に黒いヤニが混じる。 喫煙性臭気
普段より食肉や乳製品の動蛋白ばかりを摂り、「肉の中毒」に罹っている人は、断食三日目頃から、牛肉の缶詰が腐っているような匂いの呼気を吐く。 獸性臭気
普段より甘い物ばかりを食べている人は、断食四日目頃から、胃が上方に込み上げ、甘酸っぱい唾液や、肝臓から苦い液体が込み上げこれを吐く。 甘酸性臭気
普段より薬を長年投与した人や注射を数多く打っていた人は、背中の「胃兪」のあたりや、胸の「鳩尾」のあたりに、疹出物が周り一面に吹き出す。また、そこから匂う臭いは投与した薬や注射液の匂いと同じである。 薬物性臭気

 すなわち平素より胃が悪い状態にある人は、断食をすると、更に胃から、悪臭と異常粘液が出ると言う事です。しかしこれ等を出し尽す事で、胃は回復の方向に向かいます。

 悪臭と異常粘液分泌は、断食などで食を断ち、その過程の中でみられます。これは断食によって病気が治って行くと言う、自然治癒力の真理の一端を説明したに過ぎませんが、断食をよく理解して、これを実行してみたいと思う方は、まず主治医や正しく断食指導できる指導者に相談し、一日も早く、病気を根本から取り除く事を御薦めします。

 断食後の注意としては、過食を慎み、美食なども口にせず、特に邪食と云われる化学調味料で調理された総菜や、食品添加物で調理された外食での食事を出来るだけ控える事です。ハムやソーセージの加工食品や肉の薫製(くんせい)や肉の塩漬、また蒲鉾(かまぼこ)や魚肉や、その他の動蛋白などを使った天麩羅(てんぷら)などの練り製品も良くありません。特に練り製品は要注意です。更に刺戟の強いコーヒーや、度の強い酒もよくなく、タバコの喫煙も禁物です。以上を慎む事が出来たら、これまで煩っていた以前の病気に逆戻りする事はありませんし、体質が良くなる為、病気に罹(かか)り難い躰になります。体質が悪くなるからです。

 断食とは、全身全霊を挙げた躰の大浄化であり、全血液の大浄血なのです。全身の若返りと、美容の効果も実に大きく、一回の断食(二週間から20日間程度)で、十年の若返りが期待出来ます。ただし自分勝手な断食は、結局断食後にリバウンドを伴い、その反動によってかえって肥ってしまうので、要注意が必要であり、正しい指導者について、充分にアドバイスを受け、あるいは実地指導を行ってもらう事です。また、はじめての人が10日以上の断食を行う事は、極めて危険です。したがって、指導者について実地指導を授ける事を御薦めします。

 人間の本来の姿は、病気になったら「食べずにいる」と言う事が古人の智慧であり、これにより自然治癒力が働くのです。
 現代栄養学の栄養理論に従って、栄養食と信じられている動物性アミノ酸食品や乳製品や生卵などを無理に摂取しますと、かえって病気を悪化させ、直ぐに治る病気も長引かせる事になります。

 古人は、自分の中に「もう一人の医者」がいて、この医者が自分の罹った病気を治すと言う事を知っていたのです。そして、空腹と言う事実より得た忍耐力や、克己心の徳も去る事ながら、未だ曾て体験した事のない、本当の食物の味を味あう事ができ、その本当の色彩や香気、形態や季節ごとの旬の味の認識をあらためて断食後に知る事が出来ます。



●栄養過剰は、早死を招く

 人間は権威筋の意見を聞き、権威筋の言に、自分の識(し)らないの分野に、一種の慰めを求めようとします。また、肩書きに圧倒されたり、仕掛けや構えの大きさに、つい騙されてしまいます。宗教を信じる人の多くも、やはりこうした人達であり、見かけ倒しや信者の多さ、あるいは病気治しの御利益(ごりやく)を当て込んで新興宗教に入信する人も少なくありません。

 これと同じように、アメリカから上陸した現代栄養学の虚構理論に騙され、厚生労働省の言う、日々の食品品目に無理に合わせて、一日30品目以上を「何でも食べよう主義」で実践している人も少なくありません。
 これはまさに、満腹状態の時に、無理矢理食べ物を詰め込んでいる愚行であり、愚行で、真の栄養療法は成就するはずがありません。満腹状態の時に過度な栄養を与えても、それは決して栄養にならないからです。

 病気で消化・吸収機能が衰えている時に、無理矢理アミノ酸系の動蛋白を押し込んでみたところで、躰を素通りするなら未だしも、逆に腸内に腐敗物質として蓄積され、病気を益々悪化させます。これは胃腸などの内臓に、より大きな負担をかけ、この負担によって症状が悪化する為です。
 断食が真の栄養療法などと言うと、いささか狂気の言と捉えられがちですが、本当の栄養療法は、人体を構成する陰陽を正しく理解し、また食物に陰陽を正しく理解して、正しい食養と、正しい断食以外に、真の栄養療法と断言できる方法は、他にないのです。
 断食をして、これまで腐敗物や老廃物として蓄積された、過剰な脂肪や過剰な贅肉を駆逐してこそ、脂肪塊や動蛋白の残留物は排泄されるのであって、その元凶こそ、万病を齎していた宿便だったのです。宿便こそ、万病の元凶だったのです。

 現代医学では、死体解剖により、「宿便はない」としていますが、死体と生体とではそのメカニズムが異なります。生体には紛れもなく宿便が存在します。腸の絨毛襞(じゅうもうひだ)も含む、その表面積には、おおよそテニスコート一面ぐらいの宿便(ただし死体解剖によって宿便は確認されていない。しかし死体と、生きている人間の生体とは異なる。したがって宿便はあると考えられる)があると言われています。
 これを一掃してこそ、躰に清浄無垢が戻って来ます。腐敗物や老廃物を取り除けば、瑞々しい、元の人間の姿に戻っていきます。この状態に至った時、正しい食餌法が実践できるのです。自然の恵みによって、有機農法で生産された食物を、食餌法と共に正しく「頂く」ことによって、本当の栄養を体内に齎す事が出来るのです。

 病気が治ると言う現象と、断食とは密接な関係があります。
 一般に断食は美容の為だとか、痩身の為に用いられる食事制限療法と信じられていますが、これが大きな誤りです。
 喩えば、歯槽膿漏(しそうのうろう)と断食は無関係だろうとか、眼病と蓄膿症(ちくのうしょう)は無関係だろうと考えてしまいがちですが、人間の抱え込む病気と、断食とは極めて密接な関係にあり、断食する事により、白血球の活動を盛んになります。その絶頂期に、病気を完治に向かわせるのです。また、逆分化が起り、組織の中の白血球に似た丸い細胞核が顕われ、これが多数の赤血球に移行し、組織や細胞が血球に戻って行くのです。この逆分化の現象こそ、断食で病気が治るメカニズムであり、したがって、病気と断食は切ても切れない相乗的な関係をなしているのです。
 病気と言う、局所に顕われた症状は、食の間違いから起るもので、体細胞に顕われた「炎症」という事が言えます。こういう症状に至った時、断食して体質を根本的に改善しない限り、病気は治したくても完治する方向に向かいません。

 したがって体質の改善を怠り、妄信的に医者の言に従って、幾くら薬を大量投与しても、最後には薬剤性の脂肪肝に移行したり肝硬変を煩って、病気に罹った時以前より、更に悪くなっていきます。
 また、現代栄養学をベースにした現代医学の食事指導は、いささか無理があります。論理的に、動蛋白の良質のアミノ酸自体は幾ら優秀でも、この優秀なアミノ酸は、人間の場合、正しく吸収し、正しく消化されません。人間の腸では無理なのです。また人間は肉食や乳製品を摂取するように出来ていないのです。肉食獣が草食獣の肉を食べて、元気になると言うわけには行かないのです。
 何故ならば、人間は肉食動物ではなく、菜食動物の形態をとった水冷式哺乳動物であるからです。それは人間の、歯の形から考えても一目瞭然です。人間の歯は、動物の肉を食べるような歯形にはなっていないのです。



●人間改造の歴史的瞬間

 宿便が、ごく自然的な形で排泄する瞬間は、まさに人間改造の歴史的な瞬間と言えましょう。一種の開眼であり、歓喜が訪れます。これまでとは打って変わり、判然とこの瞬間に、自分の後半の人生は一転します。心の安らぎと幸福が訪れます。

 断食後に顕われる、人間改造に至った喜びは次の通りです。

肩凝りがとれ、方の稼動が大きくなり、大胸筋が大きく開くようになった。
股関節亜脱臼が治る。座骨神経痛が軽症になったり、治るなどの現象である。
躰全体が軽くなり俊敏になる。動きが素早くなり、自力移動が快適になった。
唇の色が非常によくなる。黒ずんだ色が無くなる。
顔が十年ほど若くなる。全身がリフレッシュされるため、細胞が若返る。
長時間歩行しても疲れなくなった。山道歩行などの断然強くなる。
顔のシミやソバカスが無くなった。また、イボが取れる。
酒を飲んでも不味くなり、飲めなくなった。感覚器が正常に戻ったからである。
以前はヘビースモーカーだったが、タバコがまずくて吸いたく無くなった。
10 偏頭痛や頭重のもやもやが無くなり、頭が軽くなった。
11 便通が毎日あり、十年前より更によくなった。
12 薄味でも、食べ物の味が本当に分かるようになった。

 以上の、気分爽快な、根本的に体質改善に成功した場合、こうした満足感が味あえます。
 自分自身の中に宿る『世界一の名医』のお陰で、今まで間違っていた日常の、惰性的な不摂生を改め、人間そのものを改造できるのです。そして人間は生まれながらにして、自分の中に、世界一の名医を宿しているのです。

 私たちは、日常生活の中で、世襲の間違った俗習に、長い間、飼いならされて来ました。
 肉はスタミナ源のモトとか、土用どよう/暦法で、立夏の前18日を春の土用、立秋の前18日を夏の土用、立冬の前18日を秋の土用、立春の前18日を冬の土用といい、その初めの日を土用の入りという。普通には夏の土用を指していう)のウナギ(夏の土用の丑の日に食べるウナギ)を食べると夏バテをしないとか、動蛋白は人体に必要な重要な蛋白源であるとか、肉と野菜をバランスよく食べて一日30種以上の御数(おかず)を食べようとか、こうした事を一々上げれば切りがないのですが、これを本当に信じ、権威筋の偏見に騙され、また似非(えせ)学問である現代栄養学と言う理論に騙され続け、結局騙され続けけた結果、その果てに見たものは、現代の難病と云われるガンや糖尿病などの成人病でした。

 食べて過剰な栄養を摂取する事は、真の栄養療法でもなく、真の健康法でもありません。栄養が消化され、吸収される躰にしてやってこそ、真の栄養療法なのです。
 人間改造が成功すれば、濃厚な味の食品や油物、塩辛、白砂糖、白色精製塩、化学調味料、合成着色料などで味付けされた食品を受付けなくなり、また、動蛋白食品が獣臭くて食べられなくなります。そして自然と、薄味で食材を食べると言う、食する重要性が分かり始めます。

 また、玄米穀物菜食に徹するのですから、自然と噛(か)む、咀嚼(そしゃく)回数は増え、よく噛み、よく唾液と混ぜ合わせて食物を食べるようになります。人体は食の集積であり、食が人体を構成しています。食の摂取の在り方が正しいか否か、これは咀嚼と、咀嚼の際に起る唾液との混ぜ合わせに健康の秘訣があり、早食いの人は、咀嚼回数が少ないので健康を害している人が少なくありません。
 これを防止する為には、まず、よく噛む事であり、唾液と混ぜ合わせて胃に送り込むと言う事が大事なのです。よく噛み、よく唾液と混合させ、咀嚼回数を増やしていく事です。こうすれば胃腸は段々と回復され、粗食小食で充分なエネルギーが摂れ、疲れない躰になって行きます。
 「噛めば噛むほど神になる」とは、こうした事を言い、上顎(うわあご)を「火」、下顎を「水」とし、上と下で「火水」(かみ)を司り、この「火水」が則(すなわ)ち「神」になるという事なのです。