現代人に必読の価値のある、お奨めの一冊!
 精神医学者エイブラム・ホッファー博士が、分子整合医学という分野を開拓し、ビタミンB
3とビタミンC、アスコルビン酸の大量投与により、統合失調症の治療が可能であることを発見した。

 この栄養療法は、日本で行われている精神科医の主力である「精神安定剤て強制的に病気を抑え込む」という発想とは全く違い、栄養療法をもちいて自然の形で統合失調症を回復させていくという、精神医学の新しい形を示している。それが『分子整合精神医学』である。

 
A・ホッファー 著
 大沢 博 訳
 発行所 (株)第三文明社  定価
 本体1200円+税



●現代人は「科学的」という言葉に誤摩化されている

 現代日本人ほど「科学的」と言う言葉の好きな人種は居ない。直ぐに“科学的”と言えば、お人好しで権威筋の“言”に弱い日本人は、つい、その言葉に誤摩化(ごまか)されてしまう。そして“科学的”と言う言葉から、現代人は「統合失調症」になる“病因の側面”を、少なからず抱えている。

 現代人の食生活の中には、多くの“早死に”する要素が多々ある。
 特に「白砂糖」の麻薬的病因の要素である。白砂糖は多くの食品に使われ、私たちはそれに何の疑いも抱くことなく、安易に使用している。しかし、この“白砂糖”こそ、実は麻薬的な病根を抱えていた食品であることが、いま解明されはじめた。

 白砂糖の食性は紛(まぎ)れもなく「麻薬!」である。それは白砂糖が、低血糖症を誘発し、その症状がアドレナリンの過剰分泌をもたらし、「麻薬」という経路を通じて、血糖の乱高下を起こし、その循環によって、再び低血糖状態が起こると言う構図を作り出す。

 この構図の中では、人体は低血糖状態からくる“エネルギー・ショック”に対処する処置作用が起こり、大量のアドレナリン・ホルモンを分泌させて血糖レベルを引き上げようとするが、アドレナリンが体内で分解されて発生する物質アドレノクロムは、実は「麻薬メルカリン」の中の薬効成分と同じ物質であるということが指摘されはじめた。
 つまり、アドレノクロムが精神分裂病の原因物質であり、これがこの病気を誘発すると言うことが有力な学説となりはじめた。

 今日、テレビや新聞や雑誌に放映・掲載される“食品”や“”菓子類”や“清涼飲料水”のコマーシャル情報の中には、情報自体が巧妙になって「科学的」と言う言葉を乱発し、あるいはそれらしく見せて、消費者に錯覚を誘い、「科学的」に見える形式的な論法と手順を使って、日本国民を騙している。また、これを小・中・高校の学校教育の中に侵入させ、この「似非(えせ)科学」が大手を振って闊歩(かっぽ)し始めている。

 ある学校の『学校保健ニュース』の中には、次のような掲載記事が載ったという。
 「脳のエネルギー源はブドウ糖だけです。……ブドウ糖を含む食品のうち、ご飯やパンよりも消化吸収力が速く、すぐにエネルギーを供給できる砂糖がより効果的です」

 しかし、消化が速ければいいというものではないだろう。人体は規則正しい秩序の下に運営されている為、「速い」という愚行は、何の意味も持たない。
 むしろ、人体の摂理は、ゆっくりと消化吸収されるから血糖値が安定するのであって、この人体の秩序だった摂理を見逃してはならない。そしてある学校では、朝食を食べてこない子供に、保健室で“砂糖”を与えるという学校があるそうだ。
 これでは、意図的に現代人を統合失調症に誘発しているようなものである。



●精神病院は「回転式ドア」という精神医学が施されている

 今日では、精神病院に長期入院する患者は非常に少なくなったと言う。その背景には、精神安定剤の発達がある。そして精神安定剤の出現以来、逆の意味で、精神病院に舞い戻る入院患者は激増している。
 これは今日の、精神安定剤で病気を押さえ込んでしまうと言うやり方が、実は科学的のように見えて、そうではないことを物語っている。今日、精神科や精神病院の精神科医が使用する“精神安定剤”では、もはや統合失調症は治せないことが明白になりはじめた。

 精神病患者が、一見治ったように大人しくなるのは、「化学的拘束衣(こうそくい)」となることで静かになったように見えるのであって、精神安定剤の出現は、その後、多くの不幸を生み出している。

 精神安定剤は、薬である為に、製薬会社各社は、その薬自体に「特許権」を取得している。
 この特許権は、莫大な利益を生む。したがって、特許権維持の為に薬メーカーは試験と広告費を使いながら、併せてその背後で暴利を貪(むさぼ)るのだ。
 こうした医薬品メーカーでは、医学雑誌に莫大な広告費用を出して自社の宣伝広告を掲載する。それでも、充分に見返りがあるのだ。莫大な広告費を出して宣伝しても、あまりある利益が齎(もたら)されるからである。

 そして薬メーカーは、精神科医に新しい情報と、新製品の無料サンプルを提供し、この背景の裏に、“プロパー”と言う販売促進員を常時訪問させているのである。
 この販売促進員は、単に精神病院に薬を売り込むだけではなく、医師の夜の接待まで受け持つ役を背負っている。ゴルフの接待から、夜の巷(ちまた)を飲み回り、一夜の慰安の為の、性的な関係を持つ相手まで、ちゃんと手配するのである。病院では、かしこまった“善人”かつ“紳士然”とした白衣の主も、接待では本性を剥(む)き出しにする輩(やから)が少ないと言う。庶民の知らないところで、「うまい汁」が吸い尽くされているのである。

 また、薬メーカーは、ここまで医師を優遇しても、莫大な利益が生まれるのである。そしてその利益の一部は、次の薬品開発の為の研究費に使われる。この循環の構図から検(み)れば、自社で開発した精神安定剤を精神科医に優遇付きで接待し、そして、次の開発研究の為に利益の一部を還元して、また新しい精神安定剤を作るというこの構図は、要するに「儲かる構図」なのである。

 これに対して、A・ホッファー博士が提唱した『分子整合精神医学』という、栄養素によって自然治癒力を促しながら治癒させると言う精神医学は、普通の人でも、栄養素を研究すればその自然食品の入手も可能で、更には特許でないため、この療法では精神病患者から巻き上げる治療費のメリットがないということになり、その為に日本では、多くの精神科医が精神安定剤の「副作用」に薄々危険を感じながらも、これを使用している、と言うのが実情である。



●精神安定剤がもたらす副作用は大きい

 気分が優れないとか、何となく訝(おか)しい、病気ではないのだが……という動機で、精神科や神経科を訪れる人は多い。そしてそこのクリニックで貰った精神安定剤で、「本当のキチガイ」になっていく人も少なくない。
 精神科で出される精神安定剤や抗鬱剤(こううつ‐ざい)は、健康な人が、ひとたび飲めば、それだけで精神病者になってしまうという強力なもので、その上、副作用も少なくない。健康な人でも、クリニックで出された安定剤を安易に飲み、常用すれば、本当の精神病になる。

 このメカニズムは、精神安定剤自体が、これまで正しく働いていた脳が、薬のせいにより、不均衡を生じる為だといわれ、「妄想」という思考の障害が起こり、また情動的な混乱と感覚的知覚障害が起こり、これが「幻覚」を生み出すからである。この発症までのメカニズムの中には、勿論、精神安定剤による「副作用」も含まれるのである。

 では、実際にどう言う副作用が起こるのか。
 その筆頭は、何よりも精神安定剤の副作用として有名なのが、「パーキンソン病」である。
 この病気は、精神病以外の副作用からではなく、それ以外の病因からも発症する人が居るが、その罹病率は「1000人に1人」であり、この病気の病名は、イギリスの医師J.パーキンソンJames Parkinson/1817年初めてパーキンソン病を報告。1755〜1824)の報告した疾患によるものである。

 パーキンソン病は、筋肉の緊張が高まり、振顫(しんせん)があり、随意運動を開始することが困難になるなどの症状があって、背がかがみ表情が仮面状を呈する病気だ。錐体外路系の中枢の障害が原因で、高齢者に多く発する病気でもある。そしてこうした障害の裏には、ドーパミン(dopamine)という、神経伝達物質として作用する物質が少なくなる事で起こる病気である。

 また症状としては、筋肉の動きが円滑でなくなり「固縮(こしゅく)」が起こり、運動量が減る「無動(むどう)」が見られ、更に手足が震える「振戦(しんせん)」が顕れる。
 つまり、固縮・無動・振戦がパーキンソン病の三大症状として有名である。手足の震えが40才〜50才代から目立つようになり、原因不明であるとされながらも、精神安定剤による副作用観決して無視できないのである。

 日本では、パーキンソン病は、脳神経系の病気で難病に指定されている原因不明の病気であり、全国で約10万人以上の患者がいると推定されている。そして症状事に、重度を示す階級があり、認定基準があって、その介護・保護下に置かれている。

 更に、精神安定剤の副作用として、最も怕(こわ)い病気の「横紋筋融解症(おうもんきん‐ゆうかい‐しょう)」がある。血液検査でCPK値が上昇し、筋肉痛ならびに膚の痛みなどの自覚症状がある病気で、初期症状の段階で発見できれば、回復ないし重篤化の防止の可能性がある病気である。

 骨格筋の細胞が融解、壊死(えし)することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じる病態をいう。その際、血液中に流出した大量の筋肉の成分(ミオグロビン)により、腎臓の尿細管がダメージを受ける結果、急性腎不全を引き起こす。
 つまり、今日の医学では恢復できない難病である。この病気は、20代や30代でも精神病の副作用以外でも罹病するのである。

 例えば、烈しい筋肉運動をして肉体を酷使したとか、災害に遭遇して、建物の下敷きになり、長い間放置されて、やっと助け出されたとか、こうしたアクシデントによって、後遺症として横紋筋融解症を罹病するのである。したがって、パーキンソン病のように、高齢やとは限らないし、況(まし)して、精神安定剤や抗鬱剤の副作用以外からも、この病気は、若くして罹病することだ。
 しかし、横紋筋融解症が、精神科の出す精神安定剤や抗鬱剤により、罹病することは、既に明確化しつつあるのが、世界の医療界の常識となりつつある。

 ところが日本では、「横紋筋融解症」と言う、この病名すら知らない精神科医が居るから驚きである。
 精神医学の分野でも、精神安定剤の副作用から、横紋筋融解症が発症することが徐々に浸透しはじめたが、それでも不勉強な精神科医は、この副作用を知らず、旧態依然として、いま患者に使用してる精神安定剤に疑問を抱かず、血液検査のCPK値も無視して、本来ならばある程度、恢復の見込みもある精神病患者を、「寝たっきりの廃人」にしている現実があるのだ。
 その意味からすれば、日本は決して医療立国でもないし、医療先進国でもないのだ。

 今後、薬メーカーの作り出す新製品の精神安定剤から、統合失調症と診断され、精神安定剤が使われ、その副作用によって、「横紋筋融解症」を罹病する被害者も少なくないだろう。
 しかし、この病気の発症率が、パーキンソン病と同じく「1000人に1人」であり、精神病患者の0.1%の罹病であるから、精神安定剤と横紋筋融解症の因果関係が明確に出来ないことが、被害者の反論できない泣きどころである。

 そしてパーキンソン病には認定の介護・救済方法が、ほぼ確立されているのであるが、横紋筋融解症は近年に知られるようになった病気であり、国の救済方法は、まだ確立されていない。

 精神安定剤の副作用で、「横紋筋融解症を罹病した」と精神科医に訴えても、多くの医師は知らん顔をするか、知っていても、この病名が持ち出されただけで、不機嫌になると言う。そして精神安定剤の乱用によって生じた副作用と、横紋筋融解症の因果関係を認めたがらないのが、今日の日本の精神医学界の実情である。

 また、精神安定剤が起因して横紋筋旧解消を罹病した精神病患者は、神経内科に懸かったとしても、この病気の被害者が精神障害者であるため、暴れたり、罵詈雑言(ばり‐ぞうごん)を吐いて喚(わめ)き、担当医や検査技師を困らせ、検査に患者自体が協力的でないということが、また「横紋筋融解症である」という診断が下せず、病名不明のまま放置されるのが今日の実情である。

 個人的人権は、日本の場合、どこまでも尊重される。喩(たと)え、患者が生命に危険を生ずる重篤な間合いでも、患者自身にはっきりとした言葉による意思表示があり、その表示が明確である場合、精神が病んだ分裂病患者であったとしても、その意思は尊重される。

 患者自身が強迫観念に駆られて、検査が怕いもの、自分の生命に危害を加える悪しきものと誤認して、検査を拒否し、投薬を拒否したとしても、それは患者の意思が尊重されるのである。だから、これを担当する神経内科医は、その意思に従い、それ以上の検査をすることが法的に出来ないのである。検査には、同意が居ると言う逆結果が、精神障害と、パーキンソン病や横紋筋融解症を抱える患者の泣きどころであり、それは同時に患者の恢復を願う家族に反映されている。要するに「お手上げ」なのだ。

 したがって、精神疾患を抱えながら、精神安定剤や抗鬱剤の副作用によって、これらの病気を罹病した場合、患者自身の苦しみだけではなく、その何十倍もの「苦しみ」となって家族に跳ね返ってくるのである。
 ゆめゆめ、自分は精神病にもならなかったし、若くして横紋筋融解症にも、年をとってからのパーキンソン病にもならなかったと、傍観者の立場をとっていいというものでもないであろう。
 現代医療の裏側には、「薬の副作用で苦しむ患者と、その家族」がいることを忘れてはならないだろう。

 ちなみに「横紋筋融解症である」という診断書を、神経内科医から書いてもらう為には、次のような検査結果が必要である。
第一段階
筋肉評価の診察検査。
第二段階
MRIによる筋萎縮有無と炎症の有無。
第三段階
針筋電図の検査。
第四段階
筋生検査。

 以上の四段階の検査の結果が全部出揃い、「横紋筋融解症」と診断されるのであって、これは一般に、精神的な異常のない人に行われる検査であり、これが精神病患者である場合、この四段階の総ての検査を受けることは、患者の精神状態からしても、殆ど不可能であると言わざるを得ない。
 要するに、病名が決定されずに「浮いたまま」の状態で、患者は死ぬまで放置されるのである。

 そして多くの日本人は、こうした現状の医療体制に、何の疑問も抱いていないのである。
 それは、「自分だけは例外」であり、こうした病気に罹るような不摂生もしていないし、また、“精神が病むなんて”という、誰にも起こりうる「不定愁訴」にも、他人事のように考えているからである。
 患者として保菌の因子を持つ患者予備軍も、そうした患者を一種の「金づる」と考える医薬品メーカーや医療体制側も、その双方も、どちらも自分には関係のない「他人事」なのである。

 こうした「他人事」的な思考が、この現実化の側面から、じわじわと忍びより、「明日は我が身」という現実を、“対岸の火事”か“遠い国の花火大会”にしているのである。

 こうした現代の日本の精神医学の医療体制は、アメリカやカナダと比較して、極めて遅れていると言うばかりでなく、この分野の医学界には、封建的な旧態依然とした因習が残り、それが猛威を振るって、患者を苦しめていると言うことだ。
 また、日本は保健制度の中で「代替医療」や「栄養寮法」と言うものを保険の対象に含めていない為、こうした治療法に“保険が利かない”という現実がある。そして医学の進んでいる日本と言う国は、実はその背後に、こうした恥部を抱えているのである。

 統合失調症は、日本では多くの場合、セロクエル100mg錠、ヒルナミン25mg錠、それに筋肉の緊張をほぐすアキネトン1mg錠、ウルソ50mg錠などの強力な精神安定剤が使われ、今日の現代精神医学は、これらの精神安定剤によって、統合失調症の痕跡(こんせき)を総て取り除こうとしている。
 しかし、これは全くの偏見に満ちた治療法であり、例えば、もし精神科医が、患者の気分障害の証拠を見つけると、その患者には忽(たちま)ち、「気分障害のラベル」が貼られ、直ぐに躁鬱病(そううつ‐びょう)に特に用いられるリチウムが投与される。これが今日の、科学的と言われる「薬で抑え込む精神医学」の実情である。

 更に、病状が進み、患者に人格の目立った変化が見られると、直ちに「治療不能」という診断が下され、全く相手にされなくなる。“どんな診断であるか”が重要とされないのは、多くの精神病患者に対する治療法が同じだからである。

 それは数ある中の、精神安定剤と抗鬱剤の無限にある組み合わせによって決まるからである。どれが、無限の組み合わせによって与えられ、運が良ければ、少数の患者に薬用効果を齎(もたら)し、長年に亘って、ほぼ同様な薬が投与されて、現状維持を企てるのである。これが今日の日本の精神医療の実態である。
 そして、こうした「運の良かった組み合わせ」も、長年用いている間に、徐々に利かなくなり、同時に「恐ろしい副作用」を齎すのである。

 今日の日本の現代医学は、ここに報告した以下のものであって、これ以上のものではない。アメリカやカナダに比べて、日本の精神医学は遅れているといえよう。また、何の気なしにかかった精神科クリニックから、もらった精神安定剤によって、「本当のキチガイ」にされることがあるようだ。

 人間にとって、「栄養がいかに大事か」これによって明確になるだろう。その為にも、普段から本当の栄養学に眼を向け、自然に生きる姿を自身に求めていかなければならないのである。何故ならば、人間は本来自然界の生き物の一員であるからだ。