年間行事



【行事を主催する目的】

 現代人は時間や仕事の多忙に負われて、自分自身を瞶(みつ)め直す機会が少ないと思われます。こうした機会を得る為に、尚道館では如何のような年間行事を開催しています。
 この年間行事の主旨は、「自分のは何か」「人間とは何か」という自問自答の、新たな機会を与える為にこうした季節に応じた催し物を開催しています。

 人間は往々にして、「自分とは何か」ということに、中々気付き当たらないものです。現代人の多くは、ただ一日一日を気忙しく生きているというのが実情であり、こうした生活スタイルの中で、自分を見つけ出す、などというのは極めて困難なことだと考えます。そこで尚道館ではこうした機会を、門人各位に与え、自分を瞶め直す時間を提供し、門人各位の人間的な成長と、見聞を深めることに役立てています。

 多くの現代人は、その精神構造も、自分には非常に甘く、他人には何処までも厳しい要求を突きつけるのが常のようです。そして自分の甘さには、中々気付くことはありません。

 尚道館の年間行事は、こうした「自分の甘さ」を再発見すると言う意味で設けられたものです。
 人と自分の違いを知るということは「己を知り、彼を知る」という関係において成り立ちます。この関係を人生の重要な課題と掲げて、自分の可能性を試すというのが、尚道館に設けられた様々な行事であり、この行事を通じて、つまり、「自分とは何か」「人間とは何か」という、原点と、初心に帰る素直な心を、尚道館では指導しているのです。

 武術や武道というものは、近代における、暴力の施行と言う意味からは、既にかけ離れています。武技を争って、強弱論を論ずるような次元の低いものではありません。
 求めるべきものは、「人生の糧」であり、「心の拠り所」です。自分の修行の場として与えられている人生に対し、これを「今」に生き抜くかというのが、自身に課せられたテーマであり、このテーマを真摯(しんし)に受け止め、そこで己の魂と格闘する、真の人間の姿を発現するというのが、そもそもの武術や武道に課せられた現代人への課題であり、これを成就するために、少しでも役に立てばという目的で、尚道館は門人各位に、こうした心の交流の場を提供しています。
 また現代社会には、既に消え掛かろうとしている日本の四季の再発見のためにも、季節と日本的な行事は密接な関係にあります。この意味においても、こうした行事を存続させることは、日本人として大変に意義があることと考えます。




総本部・尚道館 謹書     




1月2日……初稽古
 一年の一番始めの稽古が、正月二日の初稽古である。心を新たにして、今年一年の稽古の成就を誓う時機でもある。


1月中旬……鏡開き
 成人の日の頃に、尚道館の鏡開きが行われる。門人各位が、各家庭で搗かれた餅などを持ち寄って、道場生全員が鏡に映る自分自身の「自分とは何か」ということを瞶め直す時期でもある。


2月5日〜14日……大寒稽古
 一年で一番寒い時期、毎朝五時から大寒稽古が行われる。稽古は一時間半続けられ、寒さの中で、自ら挫けそうになる弱い精神を叩き直すために、10日間の稽古が行われ、皆勤者には寒稽古努力賞が贈られる。
 寒中に耐え、己の挫けそうになる弱腰の精神を叩き直し、新たな自分の精神構造を作り上げるために、この大寒稽古は行われる。


3月下旬……関西・近畿講習会
 この講習会は尚道館以外の道場で学ぶ西郷派大東流の門人並びに、『志友会報』や『大東新報』を購読する会員に対して行われる講習会である。また、西郷派大東流に興味を持つ、道場部外者にも門扉を開き、自由に宗家から直伝を受けることが可能な講習会である。


5月上旬……有段者・指導員対象特別講習会
 有段者以上の資格者や指導員以上の資格を持つ門人に対して開かれる講習会である。


7月下旬……関西・近畿講習会


8月10日(一般参加者は11日)〜15日……夏季セミナー合宿講習会

 大東流合気武術は、江戸幕末期、幕府の「公武合体政策」に対し、公家や幕府要人の警護として、会津藩家老・西郷頼母によって、五百石以上の上級武士並びに奥女中のために指導された「特異な武術」であり、これが今日、「合気」をして伝承された。しかしこの合気の本質を知る人は少なく、また合気を会得した人も少ない。

 したがって憶測や推測で、合気が様々な分野から語られて一人歩きし、本来の合気とは異なった考え方で指導されたり、催眠術の一種に考えられたり、霊的な術理と考えられたり、ただの崩しの理論で考えられているというのが合気武道界の現実である。
 しかし合気はこうしたどの考え方にも属さず、特異な、奇想天外の業から構築されているというのが、真の合気の姿である。

 「護身」とは、不法な暴力から身を護るだけではなく、その他の危険に対しても、「生命の安全」をはかること意味する。そして、わたしたちの身の周りにはいろいろな危険が取り巻いている。

 もし、自分が生命の危険に直面したとき、直ちにそれを制止、そのから脱出する「術」を身に付けていなければならない。この「術」をマスターしておくのと、そうでないのとでは結果的に言って雲泥の差が出るのは明らかである。
 しかし多くの人は、自分は特別であり、こうした「危険な局面」に遭遇しない、と安易に考えている。
 悲劇とは、こうした安易な考えから起こるものである。

 昨今、警察庁の発表によると、例えば、ストーカー被害は年々増え続け、日増しに悪質化する傾向にあることが述べられている。急増するこうした犯罪に対して、警察の防止対策や、具体的な極め手は皆無であるというのが今日の司法・行政機構の現実である。
 以上の現代の危機管理意識を認識すれば、こうした「生命の安全」をはかりつつ、この時期に全国から一堂に会し門人諸氏が集結し、わが技術や心構えを更に再認識する事は、非常に意義のある事と考える。





 夏季の一番暑い日、暑中稽古として行われるこの講習会は、毎年この時期になると、東京・千葉・神奈川・名古屋・大阪・京都・奈良などから、和が西郷派大東流合気武術の門人並びに、他流の武術や武道の経験者が総本部尚道館にやって来る。昨今の参加者の特徴はメキシコや韓国からの参加者が徐々に増えていることだ。

 本夏季セミナー合宿講習会は、道場部外者にも門扉を開き、他流派や他武道経験者も自由に参加することが許されている。また西郷派大東流合気武術が如何なるものか、そうした理解を得る為にも大きな意味を持っている。

 尚道館のある場所は、静かな佇いの風光明媚な自然の取り囲まれ、その周辺には鍾乳洞で有名な平尾台、鱒淵ダム、菅生の滝、七重の滝、標高999メートルの福知山などの自然があり、修行場所としては最も恵まれた所です。


合宿の日程:
8月10日17:00道場門人対象の前夜祭。
8月11日17:00参加者点呼 18:00参加者歓迎会 23:00西郷派大東流の説明 後に就寝
8月12日6:00起床、朝食終了後、第一回講習技法 12:00昼食終了後、第二回講習技法 17:00入浴、休憩、夕食終了後、第三回講習技法 23:00就寝
8月13日6:00起床、朝食終了後、第四回講習技法 12:00昼食終了後、第五回講習技法 17:00入浴、休憩、夕食終了後、第六回講習技法 21:00就寝
8月14日4:00起床、徒歩で自然を利用した山稽古、12:00昼食は弁当、山稽古を中心とした兵法の指導、後徒歩で帰館。19:00山稽古完走会
8月15日朝食、第七回講習技法 12:00昼食 13:00散会

指導内容と講習技法並びに山稽古:
1.西郷派大東流の特徴と技法説明 2.呼吸法/複式呼吸法、逆複式呼吸法(丹田呼吸法)、息吹術 3.丹力養成法 4.合気力貫 5.合気行法(手印、九字、気の運用ほか) 6.大東流初伝業 7.大東流中伝業 8.合気揚げ 9.合気下げ 10.合気絡め 11.統覚法基本 12.合気統覚法 13.金縛り術 14.剣と杖の操法 15.陰の業 16.合気の理合 17.陰陽五行の剣 18.外しの合気 19.現代に生きる武士道の講話 20.自分独自の、不慮の出来事に対処する「切り札」を持つ 21.敵に「負けない位」とは その他。


10月下旬……茨城一日合宿講習会
 この講習会はJRA日本中央競馬会の美穂トレーニングセンター内にある、西郷派大東流合気武術・茨城支部の美浦道場を借り切っての、一泊二日の講習会である。茨城県と中心に、その付近の近県から様々な職業の違いを乗り越えて、大同団結に意志に燃えて人々が集まってくる。


11月上旬……有段者・指導員対象特別講習会


12月中旬から下旬に掛けて……関西・近畿講習会


12月下旬……餅搗き




 一年の締め括りとして、尚道館では毎年この年末期に「餅搗き」を行っている。この一年間の締めくくりの餅搗きは、少年部の少年少女と一般部の大人が交流を図る唯一の儀式である。
 少年部から一般部やその家族まで、老若男女を問わず、この餅搗きに参加し、和気藹々とした家族的な雰囲気を楽しむ、一年で最も解放された時期である。

 既に忘れてしまった日本古来からの餅搗きの行事は、本来、食事を司る神である豊受大神に感謝し、また五穀豊穰に感謝して、来年への希望を託して、健康と安全を祈念して「餅搗き」を行うものであった。

 しかし、こうした行事も、今日では既に忘れ去られた観が強く、単に「餅」とは、家庭用電動餅搗き器でするものと、安易に考えられるようになってしまった。
 そのため、戦後世代の大人達も、餅の搗き方や、それに至る迄の餅米の準備や、餅搗きの手順も、知っている人は非常に少なくなってしまっている。このままでは、こうした日本の古き良き伝統も廃れてしまい、現代化や近代化の波に押されて、やがては消え去る運命にあると思われる。

 尚道館では、こうした日本の古き良き伝統を、後世に伝える大事な行事の一つとして、年の終わりに「餅搗き」を行い、この伝統を後世に受け渡すことを目的として、毎年この行事を行っている。
 この行事は、単に道場生門人ばかりでなく、道場に通う道場生の親兄弟友人なども自由に参加でき、そうした中で、毎年家族的な雰囲気の中で開催される。