正式門人になるまで



●道場生並びに門下生の定義

 尚道館では道場に通う生徒の事を、「道場生」あるいは「門下生」と定義する。
 ただし道場生と言われる人の中には、大きく別けて二種類に分けられる。
 一つは一般の道場生の事で、少年部の道場生や、社会人の部の入門審査に合格して、単に入門を許された人と、もう一つは正式門人として、第六級以上の級位を有する人である。そして後者を尚道館では「正式門人」と称する。



●入門を希望するものは前もって予約が必要

 電話かメールで入門審査日を事前に予約し、予約した稽古日に、道衣または運動着を持参して、通常稽古に参加ちて、基本稽古を通じ、その後審査の判定を待ち、合格者は「入門審査合格の手続き」(入門願書)を提出する権利を貰う。

 ・入門審査を希望するメール

 ・総本部尚道館 電話093-962-7710(代表)



●入門審査後の判定

 審査後の判定結果は「入門審査合格者」ならびに「不合格者」に別れるが、入門審査合格者は速やかに、その後「入門審査合格の手続き」を行わねばならない。
 この手続きは、審査合格後10日以内に入門手続きをとらねばならない。10日を過ぎると「入門願い」を辞退したとみなし、以降尚道館に入門する道は永久に断たれる。
 武術の修行は、真剣勝負であり、「一期一会」であることを理解する必要がある。



●優柔不断のお断り

 10日の猶予期間がありながら、10日以内に決断を下せないという人は、その人間的性格が「優柔不断」であり、頑迷さは必ず以後、大事故や大怪我に遭遇しやすい人間である。
 こうした人間は性格的に優柔不断であり、「潔さ」に欠けるもので、尚道館ではこうした武術実践の適正に欠ける人はお断りしている次第である。



●西郷派大東流合気武術入門願書の提出について

 入門審査に合格し、入門が許された場合、入門希望者は「西郷派大東流合気武術入門願書」を書面で提出しなければらない。同時に、この時に入門金と第一月分の月謝(謝儀)を払い込む。
 そして入門後三ヵ月間は「門人見習い」として扱われる。



●「門人見習い」とは

 入門審査を提出し、入門が許されたとしても、直ぐに「正式門人」としては扱われない。
 入門後の三ヵ月間は「門人見習い」として扱われ、次のことが課せられる。
 「道場内外の掃除」や「見取り稽古」(指導者や先輩達の稽古を研究する)や「神前礼拝ならびに殿中作法起居振舞」を徹底的に叩き込まれ、初心者の段階を、身を以て体験する。

 「見所がある」あるいは「将来性がある」と判断した人を、更に次の篩(ふるい)に掛けて、選別する。したがって、ここで脱落して行く人もいる。
 また、儀法を直ぐに教えてもらう事は出来ず、一ヵ月を過ぎた当りから、「手解き三箇条」などの初心者技が道場指導員によって、基本技を指導され、残りの二ヵ月を掛けて、基本動作(左右分離躰操法、木刀の素振り各種動作、静座法、丹田呼吸法、膝行、膝退、膝側、膝行素振り、膝退素振り、坐法四方素振り、殿中における左前の「殿中起居振舞之作法」、指導者や先輩に対する礼、金銭を手渡す時の封書翰の厳守など)の一切を習得する。

 またこの間、「礼儀作法」を教わり、徹底的に人間としての礼節謙譲と、上級武士の殿中での起居振る舞い(御式内の作法)であった礼法を徹底的に学ぶのである。

 この後、「第六級」の儀法検定試験があり、これに合格してはじめて「正式門人」となる事ができる。尚道館ではこの段階にたどり着いたものを、一応「正式門人」と呼んでいる。

 しかし六級に不合格になりると、正式門人になる為には、更に一ヵ月間延期され、再度第六級の儀法検定試験に挑戦する事になる。
 つまりこれに合格できなければ、正式門人になれないばかりか、以降の儀法も教えてもらう事が出来ず、「入口辺り」で足止めを食らって再履修を繰り返すことになるのである。
 人間はこのようにして、苦労しながら道を求めるものなのである。こうした人間の姿勢を「求道者」と呼ぶ。
 脱落者は敗北者であり、これは同時に人生の敗北者でもある。こうした敗北者に、西郷派大東流の「秘伝の術」を授かる資格はないとかんがえるから、繰り返し自問しながら真剣勝負で望む心構えが必要のなる。