赤血球造血 
(あじ)の梅干煮/頭から尻尾まで食べる。
 小魚を食べる上で、一番大事なことは「頭から尻尾まで丸ごと食べられる全体食であるかどうか」ということである。

 人間は本来、植生が穀物玄米菜食の食性なら、何も魚介類など、摂る必要がないが、地球開闢以来、陸地は雨に洗われた結果、陸地のミネラル分は海に流されてしまった。海に流れたミネラルは魚介類が、これを海中でキャッチしたのであった。
 人間は必要なミネラル分を補給するために、海産物などの小魚介、海藻、自然塩などは不可欠な食物となった。

 したがって小魚介類も、海藻も、海から摂取される自然塩も、以降、ミネラル源の役割を果たすようになった。
 特に小魚介は、「頭から尻尾まで丸ごと食べられる食品」でなければならない。
 海藻は問題なしとして、塩は自然塩である必要があり、魚介は丸ごと食べられる小魚介でなければならない。
 それはミネラル成分が、魚介の皮や頭、尻尾や鰭
(ひれ)に集中しているためである。

 小魚介が有効なのは、「丸ごと食べられる」ということであり、掌サイズの小魚介は極めて有効的なのである。
 この場合、大型のマグロやブリなどの魚介では、人間には大き過ぎて、頭から尻尾までというわけにはいかないだろう。
 したがって、頭から尻尾までという魚のミネラルを丸ごと吸収できるのは、掌サイズの小魚介で、イワシ、アジ、ししゃも、わかさぎ、小エビ、小イカなどである。こうしたミネラル分を含む小魚介は、自然治癒力を増強する重要な因子を多く含んでいるのである。

 魚介類は、体質を陽性化する働きがある。このため、現代日本人には大変必要な食品である。慢性病になったり、無気力人間になったりするのは、体質が陰性化しているためである。陰性化を補足するには、魚介類が重要なのである。

 さて、人体は「食の化身」であるといわれる所以は、これまで繰り返し述べてきました。
 これを腸造血説の観点から更に詳しく述べると、赤血球造血は、系統的にも発生的にも腸内の繊毛の部分でなされるとし、進化論では下等動物は腔腸や消化器で造血がなされ、個体発生的な人間の場合でも第一段階では卵黄嚢の繊毛で行われ、これを「卵黄嚢造血」と言います。

 そして第二段階に入ると、卵黄の少ない哺乳動物や人間では子宮内面の子宮壁にある血管の開放端から出血し、その血球モネラから胎盤絨毛ができ、絨毛壁細胞から血球ができる。妊娠中の胎児は胎盤の絨毛で母体からの赤血球を吸収し、それによって黄嚢絨毛や胎盤絨毛の壁細胞を新生します。

 その結果、絨毛壁細胞が形成され、その成熟によって内部の無核の赤血球十数個と胞子形成する過程で新生し、それが連続して血管となり臍帯の静脈から胎児の体内に運ばれ胎児を形成する細胞の母体となっていきます。これが「胎盤造血」のメカニズムです。これが第三段階の過程に当たります。
 そして出産後は母親からの血液補給が断たれるので、新生児は母乳によってその消化産物から腸粘膜の絨毛を形成し、以降絨毛で造血を行っていくことになります。これが「腸造血」のメカニズムです。

 以上を要約すれば、第一段階は卵黄嚢の絨毛で、第二段階は胎盤の絨毛で、そして第三段階は腸管内の絨毛で造血されるということであり、これを植物の当てはめて考えれば、人体における腸の絨毛は、食物における根毛に相当し、動物は腸壁内の絨毛で、植物は根を伝播して、体内に栄養素を吸収するメカニズムになっています。

 つまり人体は「食の化身」であるという、東洋医学の説がここで再浮上するのです。こうした事実が医学者の間で冷笑され、間違った仮説として考えられていることは大変に残念なことです。
戻る次へ