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食事病を発症させる飽食の時代の誘惑的な食べ物。しかしこれが骨盤・肩胛骨・頭蓋骨の関節を狂わせる


●なぜ腰痛になるのか

 腰痛の病因は、大腸の疲弊(ひへい)と腸内に残留する腐敗物が「腰痛」となって顕われます。そして一番大きな病因は、午後9時前後に食べる「遅い夕食」です。あるいは「夜食に近い夕食」です。寝る前の食事は、胃腸を疲弊させ、胃腸疲労性の腰痛や冷え症を齎します。

 まず、腰痛には二通りがあります。
 一つは、年齢と共に腹筋が弱り、骨盤が前方に引っ張られ、仙腸関節(せんちょうかんせつ)に狂いが生じて腰痛になる場合と、もう一つは、尻部の筋肉や背筋が弱って垂れ下がり、腰が前に曲がって腰痛になる場合です。そして両者に共通していることは、骨盤が歪(ゆが)み、躰(からだ)の骨格全体が、アンバランスになっていることから起ります。
 特に左右のアンバランスは、歪(ひずみ)みから腰の状態を不安定にさせます。

 こうした病因は、大腸の働きの低下が挙げられます。大腸の機能が低下する要因は、大腸内に溜まっている、本来ならば排泄されなければならない老廃物です。毎日便意を感じ、きちんと排便されて居る人でも腰痛になりますが、排便しても、「すっきり感」がない人は、腹部が張っている感じが残り、違和感が消えない場合は、既に腰痛に兆(きざ)しにあります。
 こうした状態で、少し腰を捻(ひね)ったり、前屈みになった状態でも、椎間板ヘルニアとうギックリ腰になったりします。これは骨盤が関節が弛み、開き放しの状態から起ります。

 この病気は、まず大腸の疲弊(ひへい)が挙げられます。大腸が疲弊する最大の原因は、「夜の遅い夕食」です。
 人間の骨格は、一日の周期をもって生活を制御しています。つまり、頭蓋骨(ずかいこつ)、肩胛骨(けんこうこつ)、骨盤、肘関節や膝関節、脊柱(せきちゅう)などの骨格部は、一日の周期を以て開閉作用を行っています。

 例えば骨盤を挙げると、骨盤が開いた時に睡眠状態が訪れ、睡眠中は骨盤が締まる作業が始まります。そして骨盤が締まり切った時に、目が覚めます。
 人間は異化作用と同化作用が昼と夜で異なるように、骨盤を含めた肩胛骨や頭蓋骨も、昼と夜で一定の周期をもって開閉作用を行っているのです。

 人間は、午前中に骨盤が締まり、午後からは開きはじめます。また、空腹だと骨盤が締まり、胃の中に食べ物があると、骨盤は開く生理作用が現われます。したがって、午後7時過ぎに食べ物を入れると、骨盤の締まりが兇(わる)くなり、朝起きても骨盤が弛(ゆる)み切っているから、椎間板ヘルニアなどのギックリ腰が起るのです。これは夜遅く食事をする事と無関係ではありません。腰痛や肩凝りは、これが元凶です。

 腰骨の正常な状態と云うのは、骨盤が引き締まり、仙腸関節を引き締める筋肉がしっかりしていることです。

 しかし、人生は試煉(しれん)の場であり、日々いろいろな体験をしなくてはなりません。人との付き合いもあるでしょうし、宴会などの社交の席で、暴飲暴食をしたり、夜遅くまで飲み食いしなければなら実情があります。また、小腹が空いて、食事時間以外に間食したり、夜遅くの夜食をしたりと、過食状態に陥り、腹部には「締まり」が失われます。その為に「腰骨」が無防備になります。

 骨盤を引き締める仙腸関節を引き締める筋肉は、睡眠中に引き締められるのですが、夜遅く食事をすると、腰骨全体が弛み放しになります。
 人間は食事をすると、緊張が和らぎ、腹部の筋肉が弛みますので、骨盤を引き締める成長関節の筋肉も弛み、腰骨全体が弛みます。この「弛み放し」が腰痛を齎(もたら)すのです。腰骨は睡眠中に締まる作用をするのですが、夜遅く食事をすると、あるいは食べて直ぐ寝ると、睡眠中に締まる筈(はず)の腰骨が締まらなくなります。

 本来ならば、朝起きた時に締まって居なければならない腰の筋肉が弛んだままになっていて、こうした状態で作業をしたり躰(からだ)を動かしたりすると、即座に「ギックリ腰」という病因が派生します。その上に、排泄物が腸内で腐敗して残留している為、更に悪循環を起します。
 とにかく、夜、遅くに食事をしたり夜食をしたりして、その後、直ぐに寝てしまうと、骨盤の筋肉を弛めることになり、これに更に絡んで暴飲暴食が悪循環に輪を掛ける事です。
 つまり、腰痛とは、飽食の時代の「食事の間違いから起る食事病」と言えましょう。

 食事の間違いを冒すと「食傷」という状態が顕われます。この食傷の大きな起因は、現代日本人の食事が欧米化したことによります。特に日本人は、昭和30年代の高度経済成長期を機転として国民の生活水準が向上し、食生活が裕福になって肉を中心とする動蛋白摂取により、「食傷」という病因が浮上し始めます。

 更に「食傷」に輪をかけた悪循環は、日本人が明治維新以降、生活の欧米模倣化に伴い、動蛋白摂取が盛んになり始めたのですが、残念ながら日本人の食文化の中には、「肉を食べる文化」も、「肉を食べる知恵」も、全く存在しなかったと云うことです。

 日本人は欧米人ほどに、肉の中に毒素が存在することを、殆どよく知りません。肉の毒を排泄させたり、肉を食べる時に何を一緒に食べたらよいかの、食に関する知恵もありません。ただ現代栄養学が命ずる儘に、「肉と野菜をバランスよく」などという根も葉もない仮説に従って、動蛋白の中に含まれるアミノ酸摂取を、訳も分からず、せっせとやっているのです。
 この姿を、西洋から見れば、滑稽ほど愚かしい姿でしょう。

 何故ならば、伝統的に肉文化に親しんで来た西洋では、肉を食べる際には、必ずライ麦パンを一生似た練ることが常識となっているからです。しかし、日本人も、また近年の高度経済成長で牛肉等を食べ出した韓国でも、中国でも、この常識を知りません。恐らく西洋から視て、東洋人のこうした滑稽なまでの愚かしさは、影で眉を潜めて笑っているかも知れません。

 本来、肉文化を伝統的な風習として続けて来た西洋では、肉の毒性とちゃんと知っていて、この肉の毒素を排泄させる為に、ライ麦パンを一緒に食べると言う知恵を持っていました。ところが、日本人は多くの肉を摂取しながら、ライ麦パンを一緒に食べると言う知恵すら知らず、「肉がスタミナの元」と言わんばかりに貪りついています。
 そして、これが元で、腰痛を始めとする肩凝りや、その他の成人病を、肉の毒から招き寄せているのです。

 更に御丁寧なことに、食後の後の果物等のデザートに舌鼓を打ち、夕食を「晩餐(ばんさん)会」と勘違いして、果物類を摂ると美容や健康にいいと考えてしまうのです。
 しかし、夕食にデザートを摂ると、デザートの多くが糖分を含んだ果物類か、ケーキ類か、甘味料が添加された乳製品のアイスクリームなどである為、骨からカルシウムを奪い、骨盤の関節を弛めてしまいます。この弛みは、本来ならば睡眠中に改善されて、寝ている間に骨盤が締まるのですが、御丁寧にデザートを摂取した場合、骨盤を締める作用が遅れ、朝目覚めても、骨盤が弛み放しになっているのです。腰痛はこうした事が元凶になっているのです。

 また、西洋と東洋の気候風土の違いも知らなければなりません。日本人が欧米食に適合できないわけは、実にここにあるのです。
 西洋の食事法について述べれば、西洋と東洋の違い、特に日本と比べれば、西洋は寒気が強く、降雪の少ない広大な原野が広く、古来よりその土地の住民たちは、牧畜と商売を生業(なりわい)にして来ました。所謂、彼等は遊牧の民であり、商売人も商売人以外に何ものでもなく、ここで商売における様々な処世術を用いて、したたかに生きて来たのです。

 更に食事の中心は、穀物菜食よりも、動蛋白を中心とした雑食をして来たのです。そして食事のメニュー内容を調べると、穀物摂取は殆ど無く、極冷性の植物のジャガイモが主体で、極温性の動物である、牛・豚・鶏などの肉の雑食をして来たのです。

 しかし、こうしたヨーロッパ等の伝統に比べ、日本人は明治維新までは、国民の大半が正食であり、維新後に雑食の食文化が旺盛になっていきます。更に、太平洋戦争の敗戦により、日本の文化は阻害され、欧米一辺倒となって、昭和30年代の高度経済成長期を機転として、日本人の食性までが急変してしまうのです。しかし、それは奇(く)しくも、日本人が動蛋白の毒性に冒され、成人病を患うと言う因果関係を招いたのでした。
 ここから日本人は、病魔の世界へと転落していくのです。



●なぜ肩凝りになるのか

 背中が曲がって猫背になったり、背中に贅肉(ぜいにく)が着いたり、肩胛骨(けんこうこつ)を引き締める筋肉が衰えて弛むと、「肩凝り」が発生します。
 また、肩凝りは、頸(くび)の頸骨(けいこつ)を縮めて頭痛を起したり、血圧に異常を与えて、高血圧を招いたり、あるいは風邪を引き易い体質にしてしまいます。これは、主には肩胛骨を引き締める筋肉が弛んでいる場合に派生します。

 人間の骨と云うのは、絶えず開閉作用をしていることを忘れてはなりません。
 つまり、人間の人体は、上から順に云うと頭蓋骨・肩胛骨・骨盤の三つが絶えず開閉を繰り返していて、これが弛み放しになると、腸内に食品のカスである腐敗物が溜まり、これが宿便となって「老化」を引き起こしているのです。

 また、「肩凝り」の病因を派生させる肩胛骨の弛みは、「欝(うつ)状態」を引き起こし、鬱病に発展したり、神経症などの「沈んだ状態」を作り出します。また、頸椎(けいつい)に畸形(きけい)が顕われると、「五十肩」という病状が現れます。
 一般に、五十肩という病気は、50歳位になって、時々起る肩の凝りや痛みと思われていますが、これは50という年齢とは無関係です。既に20代で、五十肩と同じ病気を持っている人も少なくありません。これは食事の仕方に問題がある「食事病」です。

 しかし、この食事病は以外に恐ろしいもので、肩凝りの原因となる、肩胛骨を引き締める筋肉が弱くなると、今度は胃を圧迫する状態が起り、慢性胃炎になり、この炎症は胃ガンになる元凶を作ります。こうした状態に重なり合って、食餌法に誤りがあると、胃ガンになる確率は更に高くなります。例えば、食べ合わせなどに起因する悪循環です。

 例えば、肉に含まれる第二級アミンと、野菜の漬物や梅干に含まれる硝酸塩が絡み合った場合です。
 第二級アミンと硝酸塩は体内に取り込まれると、硝酸は唾液中で亜硝酸に還元され、第二級アミンは亜硝酸と反応して、ニトロソアミンを合成し、その結果、大量のジメチルニトロソアミンを生成することです。
 ジメチルニトロソアミンは、胃癌を発ガンさせることで知られています。

 更に、こうした状態を吟味(ぎんみ)すれば、食肉・魚肉・イクラ・スジコなどに添加すると、肉の中でニトロソミオグロビンとニトロソヘモグローゲンを生じます。しかし、こうした食品添加物は、見た目がよいように映ります。また色も安定していて、鮮やかなに映ります。色の保存性もある為、合成着色料や食品添加物が遣われています。何(いず)れも化合物であり、保存料としては、亜硝酸ナトリウムが添加されています。

 それに、肩胛骨の関節に弛みが絡み、更には左右のアンバランスが肩凝りの要因を派生させます。
 肩胛骨の弛みに合わせて、白米食で動蛋白の摂取が多い雑食をすると、炎症状態は益々酷くなり、気付いた時には「末期ガンだった」ということもあるのです。

 更に、肩胛骨を引き締める筋肉が弱くなると、心臓を圧迫し、動悸(どうき)や息切れとなって、老化を益々早めていきます。
 肩胛骨が弛むと、肩凝りだけではなく、胃炎や心臓障害を起すのです。肩胛骨が弛んでいる人は、同時に腕も垂れ下がるので、腕の内側の「二の腕」部分に無駄な贅肉が着き、自然に、姿勢も前に倒れて猫背となり、胸を圧迫している為に、心臓に負担の掛かり易い状態になっています。

 骨格の弛みは食事の誤りから来る「食事病」であり、腰痛や肩凝りに合わせて、こうした弛みは、次に頭蓋骨(ずがいこつ)の弛みへと繋(つな)がっていきます。
 肩凝りの激しい人は、肩胛骨だけが弛んでいるのではありませんから、腰痛持ちでもあり、更に怕(こわ)いことは、この弛みが頭蓋骨(ずがいこつ)にも顕われていると云うことです。
 「肩凝り」イコール「頭蓋骨の弛み」なのです。

 では、肩凝りが起因する「頭蓋骨の弛み」とは、如何なるものなのでしょうか。
 頭蓋骨を引き締める筋肉が弛むと、顔全体が膨らみ、頭部全体がブヨブヨになって膨らみ、顔が大きくなります。その為に、若い時はフサフサだった頭髪も抜け落ち、頭髪に栄養が行き届かず、髪の毛全体が細くなり、また抜け落ちてしまいます。あるいは辛うじて、頭髪を止めて居る人でも、白髪になっている場合が少なくありません。

 脱け毛や白髪は、一種の病気であり、この場合、腸内に溜まっている排泄されない腐敗物が、脱け毛や白髪の原因を作り出しているのである。腸内に腐敗物が残留すると、腸内では「逆吸収」という状態が起っていて、腐敗物から発生した異常醗酵のガスを吸収してしまい、これが「腸マヒ」という現象を作り出しています。
 「腸マヒ」は腐敗物から発生した異常醗酵のガスを吸収し、それが血液に乗って、体内を巡回するのです。この現象が、「血液を汚染させる現象」なのです。肩凝りの激しい人は、「腸マヒ」を疑ってみる必要があります。

 次に顎(あご)が、二重・三重となり、老人斑(ろうじんはん)という茶色のシミが顔に顕われます。また、視力が低下することも挙げられます。更には歯が弱くなり、虫歯がない人でも、熱い物や冷たい物を飲むと歯が痛み、歯茎が弱ります。しかし、こうした事は、単に、本当に悪くなる「前兆」に過ぎません。

 最も恐ろしいことは、頭蓋骨が弛むと、脳の血行が悪くなり、血圧に異常が生じることです。脳の表面に張り巡らされた毛細血管が目詰まりを起し、やがてはアルツハイマー型痴呆症へと移行していきます。
 アルツハイマー型痴呆症の予兆としては、視力が低下し、思考力、記憶力、集中力が低下していくことです。また、こうした症状に並行しながら、聴力も低下し、度々、耳鳴りに悩まされ、緊張感がなくなり、気力が次第に衰えていくことです。