人類淘汰の時代が始まった
朝食抜きの一日二食の空腹トレーニング
 では、こうした退化状態から抜け出す方法はあるのでしょうか。
 貯蔵した栄養分から必要に応じて、自由に、スムーズに血糖を造り出す為には、「空腹トレーニング」が必要になります。
 この「空腹トレーニング」をしますと、過剰に蓄えられた蛋白質や脂肪を燃焼させる事が出来ますので、飽食に時代に陥っている日本人には持って来いの、人体構造改造のチャンスとなります。

 肥満体質や病的体質は、これまでに述べた、血糖値を造り出す回路が一方通行になってしまい、切り替えスイッチが錆び付く事に端を発しています。回路の切り替えスイッチが機能しないが為に、体質に変化が現われ、低血糖症状に陥っているのです。こうした現象は、絶食をすると直ぐに現われます。

 低血糖状態とは、血糖値が50mg以下の状態を指します。
 通常の血糖値は、血液中のブドウ糖濃度が、正常値にある場合は空腹時血液中1デシリットル当り、70〜110mgですから、50mg以下になりますと、当然貧血が激しくなり、思考能力は失われてしまいます。思考能力が低下すれば、判断力や洞察力が鈍くなり、大きなミスを犯す事になります。
 したがって、この悪循環として、こうしたミスを解消する為に、過食に趨(はし)るという現代の縮図が発生します。

 この最もよい例として、朝食抜きの米国空軍パイロットの話があります。
 かつて米国空軍の間では、パイロットの事故が多発するという現象が起きました。これを調査する為に、事故調査委員会は、その調査結果から「パイロットの操縦ミスは、朝食抜きであった事が原因」という結論を下しました。

 事故調査委員会の結論は、こうでした。
 「通常、夕食は午後七時から八時の間である。したがって翌日の朝食を抜くと、昼食までに、およそ十五時間から十六時間の絶食時間が生まれる。その間、体内の糖質が不足し、血糖値が低下している為に、思考能力は判断力が鈍り、これが事故多発に繋がった。したがって本調査委員会は、パイロット全員に、朝食をしっかり摂るように厳重注意するとともに、もし朝食抜きのパイロットがいれば、このパイロットは搭乗任務から外す」と言う厳しいものでした。

 この結論は、脳のエネルギー中枢は「血糖値」にあるとしています。ある意味で、正論であり、同時に現代人の脆(もろ)さを克明に物語っています。
 つまり太古の先祖達のように、血糖値を造り出す回路が一方通行になってしまい、体内から蛋白質や脂肪を取り込んで、これを血糖造りに出来ないという退化した構造に、人体が退化・変形した事を明白に物語っているのです。
 だから現代医学も、現代栄養学も、「絶対に朝食は抜くべきではない」と力説する根拠になっています。しかし、それは血糖値の問題であって、体質や活動エネルギーとは、全く関係がありません。

 ご存じのように、人間の生理機能には「同化作用」と「異化作用」があります。
 人間の躰は車や蒸気機関などとは異なります。ガソリンを入れたから、石炭を燃やしたからといって、直ぐに動き始めるものではありません。
 人体では、普通、食べ物が七時間から八時間経たないと、それをエネルギーに変換する事は出来ないのです。人体エネルギーに変える場合、複雑な物質代謝系を経る事によって、はじめて食糧がエネルギーに変換されるのです。

 だから朝食が、その日のうちのエネルギーになるはずがなく、今日一日のエネルギーは、既に昨晩食べた食糧によって、ちゃんと用意されているのです。ここの処を十分に認識し、現代栄養学が言うような矛盾点を見逃してはならないのです。
 現代栄養学や現代医学が言っている事は、偏に血糖値であって、人体の生理機能を指して、的を得るような回答は出していないのです。

 人体の生理機能は繰り替えし述べているように、「同化作用」と「異化作用」があります。
 この両方の作用は、相反する方向性をもって、働いている事に気付かなければなりません。同化作用は、生体物質を合成し、エネルギーを貯蓄する作用を中心としています。
 逆に異化作用は、生体物質を分解し、蓄えたエネルギーを解放し、消費するのが目的です。そしてこの作用は、昼と夜では、「切り替わる」というのが人体構造の特徴です。

 夕暮れから暁方(あげがた)までの夜間においては、同化作用が優勢になり、逆に夜が明けて日中には異化作用が優勢になります。
 具体的には食事を摂り、睡眠をするのが同化作用であり、朝起きて排泄をし、活動をするのが異化作用の営みなのです。
 したがって医学上の「治療」という場合でも、患者の同化作用時に治療するのか、異化作用時に治療するのかで、その結果は多いに異なるはずなのですが、どうした訳か、現代医学の外来患者は、日中の同じ時間の、午前十時から午後四時頃までの時間帯でしか、診断を受けたり治療を受けられないと言うのが実情であり、現代医療制度は、こうした事にも、人間そのものを無視した大きな矛盾を抱えているのです。

 またこうした実情を無視して、現代栄養学が豪語する栄養理論は、重ね重ねの誤りを犯し、それにもかかわらず、現代日本人の食事の三本柱を「白米」「食肉」「乳製品」に置いているのは、何とも奇妙な栄養理論としか言いようがありません。
 (【註】現代では血糖値優先思考がある為、これに白砂糖が加わっているようです)
 白米がよくないのは胚芽欠乏食品であるからであり、肉がよくないのは酸性腐敗物質に腸内で有毒化する為であり、乳製品がよくないのはアレルギー体質や白血病を齎す実害があるからです。

 これらが未だに持て囃されているのは、肉がスタミナ源のモトと信じられている為であり、これが白米と引き合うという飽食理論によって組み立てられているからです。
 また牛乳などの乳製品は、いつの頃からか、「骨太」などという「牛乳神話」が作り出され、これを多くの日本人は、安易に信じてしまった結果から、愚かな栄養理論の骨子を構築してしまうという、誤りを犯してしまったのです。
戻る次へ