山行きの為の装備 1


●洗心錬成会の福智山の出発点は尚道館玄関より

 春・夏・秋のハイクは尚道館玄関より、早朝3時頃に徒歩で出発して、夕刻6時頃を帰館の目標にして、山行きを開始します。尚道館から徒歩で出かけて行って、鱒淵ダムを経由し、正午前に福知山山頂に至り、食事と休憩をし、また山頂から鱒淵ダムを経由して、徒歩で尚道館へと戻って来ます。そして、この際の徒歩行軍では、何(いず)れも地下足袋(じかたび)を履(は)きます。

 この山行きをハードと思うか、そうでないかは、その人の体質の状態と、物の考え方の思考力によります。
 「洗心錬成会」では、小学生低学年でも、80歳前後の老人(かつて88歳の老人や小学2年生も参加した)でも、決して無理のない行軍と考えております。

 もし、60歳前後の年齢で、無理な行軍と思われるのでしたら、その方は、車社会の犠牲者であり、足・腰・膝も退化し、歯や骨も弱り、記憶力や思考力も減退し、既に痴呆症が始まっていると考えなければなりません。ボケの運命を辿る人は、もう既に40代の初老から50代で、大方このような予兆が現れています。今まで歩く事を怠った、ツケが、ボケとして廻って来ているのです。呉々も、ご用心下さい。

山行き装備の前面。
山行き装備の後面。

 さて、地下足袋は、一般のアスファルト道路を歩行する際には、余り最適でない履物(はきもの)との不評があります。特に、炎天下のアスファルトを歩くには、直ぐに熱が足の裏に伝わり、少々無理なところがあると云われています。

 かつて全国を漂泊し、自由律の句を詠(よ)んだ俳人・種田山頭火(たねだ‐さんとうか)は、草蛙(わらじ)の爽快性や歩き易さを上げ、また江戸前期の俳人・松尾芭蕉も草蛙を履(は)いての旅をする、よい面を沢山上げています。そして、足にしっくり来る草蛙の快適さを褒(ほ)め讃(たた)えています。

 一方、山頭火は草蛙の快適さを上げている反面、地下足袋の酷評を上げています。それは地下足袋自身の性質が持つ、湿り気から来る「蒸(む)れ」や、歩く際の振動で「頭に響く」などの不快感を上げ、地下足袋の欠点を散々論(あげつら)っています。

 しかし、経済面の事を考えれば、草蛙は僅かに一日程度しか持たず、岩場や沢では半日程度であり、経済的には高くつき、したがって地下足袋を履くしかないと嘆いています。これは大正の終わりから、昭和初期の戦前に掛けての話です。

 ところが最近は、地下足袋も改良に改良が加えられ、通気性を考えたものなど、大変よい製品が販売されています。
 特に、沢登りに便利な地下足袋など、水陸両様の地下足袋も登場し、一般的なファッションにも、また子供の履物としての地下足袋が登場しています。沢登りでは、登山靴やスニーカーはタブーであるからです。
 こうした時代のニーズに応えて、様々な地下足袋が登場していますので、自分の履き易い、また歩き易く、岩場を登り易い地下足袋を選んで下さい。

自然林の中での山行き。

 さて、洗心錬成会では、地下足袋で福知山山頂まで向かい、そして帰って来るという、一見、ハードな山行きを行っているように思えますが、高齢者でも、「行って帰って来る、無理のないスケジュール」で、福智山ハイクを楽しめるよう配慮しています。そして、基本はお互いが助け合う「護送船団方式」です。

 洗心錬成会の活動は、春・夏・秋の年三回を山行の期間としています。

春のハイク
年一回で5月の連休を挟んでの5月4日
夏のハイク
年一回で盆の時期を挟んで8月14日
秋のハイク
年一回で晩秋の紅葉の時期を挟んで11月23日前後。
月例ハイク
毎月第1土曜日、鱒淵ダム登山口より出発。(但し、1月と2月は除く。但し、3月のみ春分の日の3月23日)

 但し、極寒の1月・2月は万人向きでない為に、ある特定の一部の修行者のみを除き行いません。福知山以上の高山登山を経験した人は、高が900.6メートルの山などと、甘く見る人が居るかも知れませんが、極寒の山は何処でも同じで、冬期登山に慣れている人でなければ無理な面もあり、こうした理由で、1月・2月の福智山ハイクを避けているのです。

鱒淵ダム。(螺旋階段から見上げた風景)

 また、毎月一回の第1土曜日の山行きは、鱒淵ダム登山口より出発します。そして、月例の山行きの集合場所は、「鱒淵ダム入口」です。この間、徒歩で来られても、菅生の滝入口までバスで来られても、マイカーで来られても結構です。ここで会員が合流し、福智山ハイクを行います。

 また、関東や関西など、その他の遠方から来られる方は、登山日の前日の夕方に尚道館に来館して頂き、早朝、鱒淵ダム入口に集合致します。

福智山ハイクの集合場所の鱒淵ダム入口付近。

 また、ハイクのコースは季節の時期によって、多少異なりますが、鱒淵ダム入口赤い吊橋登山口鈴ヶ岩屋下福智山烏落豊前越山瀬分れ七重の滝登山口鱒淵ダム入口の順で、ハイクの全タイムの所要時間は、頂上での昼食や途中の休憩も含み、約7時間です。
 但し、集まったメンバーの体力や体質により、登りと下りのコースが変更される事があります。

 春・夏・秋の年三回の尚道館より出発する場合は、これに前後7時間ほどが加算され、合計14時間前後の所要時間となります。また、万一の場合には鱒淵ダム・尚道館の間は、歩けなくなった人の為に搬送する体制を整えています。

赤い吊橋。
福智山へ、そして尺岳へ。

 そして春・夏・秋のハイクでは、尚道館より徒歩で出発して、鱒淵ダムを経由して福知山山頂に向かい、山頂から逆のコースを辿り、出発点への帰館を目指します。この場合、一切車やバスなどの交通機関は使わず、最初から最後まで、「徒歩」で強行軍を行います。
 この時の集合場所は、尚道館です。

夏場の「七重の滝」での滝行。滝行で大事なことは、入る前、邪気祓いの為、「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の九字をきり、更に打たれる場合は、金剛印を組んで頸(くび)の唖門宮(あもんきゅう)で滝の水を受ける。

 また、夏場は七重の滝で滝行を行い、心身の「洗心」に心掛けます。
 本会の目的は健脚を競う「山岳会」や、登攀(とうはん)技術を競う「山の会」でない為、目的は「ゆっくり歩く健康法」としての「強健術」の実戦と、心を洗う為の「精神修養」が大きな目的になります。

 また、山頂に向いまでの景観や、自然林に囲まれた美しい「癒しの風景」を楽しみます。充分に森林浴などをして、下界で疲れた躰(からだ)をリフレッシュさせて下さい。



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