尚道館女子部 2



●護身術の立場と、その機能美を考えてみる

 
尚道館女子部の稽古の特長は、素手での実践的な護身術に併せて、武具を使っての稽古も重ねて行きます。
 武術における「武器術」の原理は、その中に機能美が含まれているからです。こうした機能美を学ぶと言う事は、無駄な動きをなくし、最小限度の僅かな力で、敵を制する動きにも繋(つな)がっていきます。

 非力で、しかも、圧倒的に男性の力には劣る女性が、不遇の事故に遭遇した時機(とき)、此処から、如何なる手段を講じても、逃れなければなりません。また、昨今の世の中の不穏な特長の一つは、異常性格者が急増していると言う事です。そして、こうした心無い者が欲望を満たす為に、そのターゲットにするのは、幼い子供や、か弱き女性であり、私たちの周りは、危険が一杯であり、現代人は、常に危険と隣り合せに生きていると言うことになります。

催涙スプレー
60万ボルトの電圧を発する携帯用スタンガン

【重要課題】
 
護身用として、「催涙スプレー」や「60万ボルト以上の電気を発するスタンガン」があるが、常日頃から用いる修練を行っていないと、逆に奪われてしまい、犯人側から「返り打ち」にされてしまう。
 護身グッズは、通販等で売られているが、日頃から「非日常」を想定して訓練していないと、イザと言う時機
(とき)は役に立たず、ただ所持しているというだけでは、何の「セルフ・デフェンス」の効果も果たさない。

 ちなみに、「催涙スプレー」は、ノズル部分を90度回転して発射されると言う手間が掛かり、「スタンガン」は、携帯用の60万ボルトのスタンガンでは、相手の攻撃を封じる効果は非常に小さい。この効能書として、身長180cm・体重83kgの空手有段者の男子に使用した場合の結果が掲載しているが、0.1〜0.5秒放電した場合を上げ、この場合の有効部位は「首の後部」のみであり、手頸
(てくび)や上腕などの上肢は殆ど効果がない。

 実験としてスタンガンを、実際に精神分裂病患者、躁鬱病患者、神経症患者、薬物ドラッグ障害患者、アルコール依存症患者に、背後から首の後部に放電させたが、単に「痛い」と言うだけで、それ以外の「気絶する」「顛倒
(てんとう)する」という効果は何も顕われなかった。

 また精神分裂病患者、並びにアルコール依存症患者は妄想が起っている時、「痛さ」すらも感じる事がなかった。
 こうして考えて来ると、以上の護身グッズは正常な神経の、正常な人間性を持った人にだけしか通用しないものであるようだ。
 特に、覚醒剤患者は、腹部に刃物を突き立てられても、腕や肩の関節が外れ、あるいは骨折していても、この状態で立ち上がり、猛然と襲って来る。こうした実情を踏まえた上で、護身グッズに過信する事なく、常日頃からの「セルフ・デフェンス」の修練を重ねておく事が事が大切である。

 現実に、私たちの周囲を見回しただけでも、性格粗暴者や精神異常者、それに変質者等は何処にでもいます。勿論、あなたの周りも例外ではありません。
 でも、困った事に、こういう連中でも、事件を犯さない限り、法律で、彼等の人権が守られていると言う事です。したがって、非常に危険な人物とは分かっていても、狙っていたり、アクションを起こす前と言うのは、警察や法律が及ぶ範囲ではありません。アクションを起こす前触れはあったとしても、実際に行動に及ばない限りは、それを制限する事は出来ないのです。

 そうなると、彼等が凶行(きょうこう)に及び、もし、あなた自身が狙われ、襲われたとなれば、その第一段階では、あなた自身が安全の為に、防禦行動をとらなければならないと言う事です。
 物質文明が急速に進歩すれば、こうした粗暴者が出て来るのは、当然の現象と言わなければなりません。社会不適合で、社会から疎外(そがい)された人間が必ず出て来ます。したがって、こうした粗暴者は増える事があっても、決して減る事はないのです。

 そして、不思議な事に、裁判所内には「人権擁護委員会」なるものがあり、この人権擁護委員会は人権擁護の立場から、被害者そっちのけで、加害者の人権ばかりを主張し、加害者の権利と、人権を守ろうとする組織です。
 また、精神病院においても、「開かれた精神病院」を標榜して、精神病患者や精神異常者を退院、外泊、外出を許可し、更には、運転免許取得者には車の運転までもを許可する精神科医も現実に多くいます。こうした実情も、精神異常者の権利と、人権を擁護すると言う立場から、こうしたことが、平然と、私たちの知らない所で、自由に、奔放に、好き放題にさせていると言う現実があります。したがって、いつ、襲われても決して不思議ではないのです。

 性格粗暴者や精神異常者、それに変質者でも、人権が保護され、また発言力を持っていると言う事は、私たちの善良な市民側にも、「セルフ・デフェンス」を、常日頃から心得ておかねばならないと言う事になります。

 今の世の中は、文字通り「やられ損」です。失われた命や、一生涯に関わる致命傷を負った場合、それは元通りに復元される事はありません。
 もし、あなたが非常事態の不遇の場面に遭遇し、闘わねばならなくなったとしたら、まず、敵の攻撃の第一打を躱(かわ)さねばなりません。そして適切な反撃を加えなければなりません。やり過ぎると過剰防衛になると、バカな事を言う人がいますが、殺されたり、一生治らない致命傷を負ってしまえば、それで総てが終りです。

 結果として、過剰防衛が問題になっても、殺されたり、一生取り返しのつかない致命傷を背負うよりは、まだマシだということになります。
 また、特に怖(こわ)いのは、刃物で攻撃された時の事を考えておかねばなりません。空手や格闘技等の練習をして居る人でも、刃物の攻撃に対しては、普段はトレーニングを積んでいない為、この防禦に不得意です。空手やK1の選手が、性格粗暴な中学生から、簡単にナイフで刺されてしまうという事件が度々起っています。

 これは、この手の、「素手で戦う格闘技」が刃物等の武器を持っている粗暴者に対し、あまり有効ではないと言う事を物語っています。
 西郷派大東流合気武術は、江戸時代の昔から、真剣と渡り合い、刃物の研究と、その攻防法を、あらゆる角度から研究して参りました。その研鑽(けんさん)が、今日に伝えられているのです。
 したがって、私たちは刃物に対する「セルフ・デフェンス」を真剣に考える必要があります。

 私たちの周りで、小学生や、か弱き女性が無慙(むざん)に殺されている事件が沢山起っています。殺されたら、文字通り、殺され損です。
 殺人事件が起れば、警察は真剣に犯人を捕まえてくれる事でしょう。しかし、仮に犯人が捕まったとしても、死んだあなたが生き返るわけではありません。
 また、そこで、事件が解決をみて、一件落着と落ち着くかも知れませんが、殺された被害者にとっては、何とも納得し難い結末を迎えてしまいます。

 もし、あなたが殺されれば、世間も始めのうちは同情してくれることでしょう。ところが、「人の噂は七十五日」といいます。世間の同情や取沙汰は長くは続きません。七十五日と言いますから、僅かに「三ヵ月足らず」です。三ヵ月も経たないうちに、忘れ去られ、そしてあなたの一家は「一家離散(いっかりさん)」という運命を辿る事になります。

 「一家離散」とは、何とも悲しい響きではありませんか。
 ですから、そんな悲劇に見舞われない為にも、常日頃から、襲われたら即、反撃出来るような、必要最低限度の、「セルフ・デフェンス」の技術を、女性の誰もが身に付けておきたいものです。
 また、危険に遭遇した場合、いかにスムーズに、滑らかに、日頃身に付けた技術が出て来るかと言う事が、普段から要求される機能美であり、剣術の教えには、次のように述べられています。

 「当流は、天地一息を根源とし、神気の滞りなきを要(かなめ)として立てる故に、表もなく裏もなく、総じて仕組み一つなく、唯(ただ)神気(しんき)素直にして平生の形にてすらすらと出(い)で、打太刀(うちたち)の仕掛けに随(したが)いて、変に応じて勝つ、若し又、仕掛けざるも勝つ事なり、然(しか)れば形体、手足、太刀の所作に法なし、殊(こと)に神気の所法に有りて、これ谷(きわまり)神伝という」

 以上の意味は、常日頃から稽古を重ね、その後は、その時、その場の出合いに任せて、自然に出て来る働きは本物であって、形に囚(とら)われず、「流れるような機能美」こそが、最も大事であるといっているのです。



●女性と自然の美


大東流柔術の古典的な技「傘取り」。西郷派大東流合気武術の中には、日常使われている道具も、イザと言う時には、自分自身の護る、強力な味方となってくれるものである。

 古くからの諺(ことわざ)に「男は度胸、女は愛嬌」という言葉があります。
 特に女性の愛嬌は、古くから珍重されてきました。
 しかし単に、愛嬌があるだけでは、現実社会においては余り感心されません。愛嬌ばかりを振り蒔(ま)いていると、バカと間違われますから、こうした愛嬌を振り蒔くというのも考えものです。そもそも愛嬌というのは、その人の風格と人間性に順応したものでなくては、他人から好かれることはないのです。

 近年では美容整形が大流行しています。しかしその裏側に、手術の失敗で多くの被害者が出ていることも、また事実です。名医はそんなにいないものなのです。外科医がなぜ美容整形に手を出すか。それは他の診療課目に比べて、女性だけを相手にしていると、非常に儲かるからです。
 「医は仁術」というのは昔の話です。現代は「医は仁術」と思って診療に当たっている医者など、数える程しかおりません。彼等もまた拝金主義の申し子であり、「医商」なのです。

 隆鼻術とか、二重瞼術などの、簡単な美容整形も、巷間では女性の間で大流行していますが、これらも、あまり感心したものではありません。

 何故ならば、人には持って生まれた「自然の美」という、両親から貰った真当(ほんとう)のものがり、これを自分勝手に改造することは、近い将来かならず不幸を招くものです。これは運命学や観相学などからも、明白になっています。

 自然の美を無視して、改造を加えることが、近い将来において、必ず禍根かこん/将来にわざわいの起るもと)を齎(もたら)します。両親から尊い生命を授かり、現世に命を受け継ぐということは、人間の因縁において、自然的な生命伝承形態によって繰り返される、人生の営みです。この営みにおいて、人間は魂の進化を繰り返しているわけです。

 したがって自然は、その人に適在した配置をして、その人の人生を、一種の修行の場として提供しているのです。その修行の場を放棄して、この配在を自分勝手に動かすことは許されません。
 低い鼻を高くすることは、自然に反することになり、また一重瞼を二重瞼に改造することは、自然美からすると、かえって醜いものにしてしまうのです。それは術後、時間と共に正体を現します。

 また巷間(こうかん)では、欧米白色人種にちなんで、金髪や茶髪にしている人が非常に多くなりましたが、日本人と、欧米白色人種と、同種と考えるのがそもそもの間違いであり、日本人は日本人の髪の毛の美しさがあり、また欧米人は欧米人なりに、自然に備わった髪の毛の美しさがあります。
 しかしそれを無視して、髪の毛という部分的な箇所の毛色を真似して、せっかく親から貰った碧みどり/緑と深い青)の黒髪(日本人の黒髪は、紺碧色した深い海を思わせる、つやのある美しい黒髪)を、トウモロコシの毛のように染めてしまっては、何の美しさも出てきません。

 また美的に見ても不自然です。
 人間の髪の毛が金髪や茶髪である場合、貌(かお)の造りもそうなのですが、まず、眼の色がブルーかグリーンでなければなりません。黝(くろ)か茶色の眸に、トウモロコシの毛を被せますと、その配色バランスは崩壊し、不自然さを強調させるばかりのものになります。日本人の眼にはそう映らないかもしれませんが、外人の眼から見ると、これは大変なアンバランスと映るそうです。

 アンバランス・ファッションは単に美しさを破壊するばかりでなく、こうした現代の掃き溜め的ファッションや、目先の流行に振り廻されている人は、近い将来において、肉体的・頭髪的な、災難を受ける事は間違いありません。
 髪の毛の染色は、単に髪の毛自体を痛めるばかりでなく、毛根も、周辺の頭皮細胞も痛める結果となり、ハゲの原因になります。

 ハゲは、何も男性ばかりとは限りません。昨今の食生活は、欧米模倣の食生活に変わり、その様式も、欧米を真似したものが主流を占めています。水代わりに牛乳を飲む若い世代の食生活の誤りや、食肉をはじめとする動蛋白摂取の過剰で、その上、白砂糖をふんだんに使ったケーキやスナック菓子類は、ますます脱毛症に拍車を掛けています。またコーラ(糖分多糖の常習性飲料清涼水)にハンバーガー(女性ホルモン剤多投の発ガン性食品)というファーストフードも、脱け毛に益々拍車を掛けています。その上に、部分鬘(かつら)を装着して、頭皮が蒸れますから、益々脱け毛は酷くなり、「泣きっ面に蜂」の状態に追い込まれます。

 東洋医学の「五行の相生・相尅関係」(木・火・土・金・水の五行の相尅関係)に当て填めてみますと、動蛋白や糖分摂取過剰、更には化学調味料(うま味調味料)の摂り過ぎで、これらの腐敗物質は五臓(木が肝、火が心、土が脾、金が肺、水が腎)と五腑(肝が胆、心が小腸、脾が胃、肺が大腸、腎が膀胱)と五主(胆が筋、小腸が血脈、胃が肌肉、大腸が毛、膀胱が骨)の、それぞれの相生・相尅関係にあり、まず取り込まれた食べ物は胃→小腸→大腸の順に流れていきます。

 相生・相尅関係の中で相生関係「木・火・土・金・水」で、木は燃えて火を起し(木生火)、火は燃えて土となり(火生土)、土から金属が採掘されて(土生金)、金属は冷えると水滴が生じ(金生水)、水より樹木に水が与えられると木が繁り(水生木)の関係を生み出します。
 こうした自然界の現象を、人体に当て填(は)めますと、肝は心を生じ、心は脾を生じ、脾は肺を生じ、肺は腎を生じ、腎は肝を生ずるという、相身互いに助ける関係にあります。

 ところがこれが相尅関係になりますと、五行を一つ置に剋する関係になりますから、木は土から地下の養分を吸い上げて土を痩せさせ(木尅土)、土は水の流れを塞き止め(土尅水)、水は火を消し(水尅火)、火は金属を溶かし(火尅金)、金属は木を切断する(金尅木)という相尅関係が生まれます。
 これを人体に当て填めてみますと、肝は脾を尅し、脾は腎を尅し、腎は心を尅し、心は肺を尅し、肺は肝を尅するという、お互いに尅する関係になります。

 相生・相尅関係から脱毛症という病気(この病気は単に頭皮細胞や毛根細胞の末端的な病気ではない)現象をみますと、動蛋白は血液を汚染します。血液は「腸造血説」(現代医学では、血液は骨髄で造られるというという仮説が主流。これを「骨髄造血説」という。これに対して東洋医学は血液は腸内で造られる説を立てる)という、東洋医学から考えますと、食べ物が胃に取り込まれ、消化液で消化状態にされて、十二指腸を経て小腸に送り込まれ、ここで吸収という作業が行われます。

 この時に吸収される食べ物が動蛋白(食肉、牛乳、卵など)である場合、腸で造られる血液は酸毒化して汚れますから、まず「腎」を病み、腎は心を尅しつつ、心は肺を尅し、肺は肝を尅し、肝は脾を尅するという悪しき相尅関係が生まれます。

 
 つまりハゲは、小腸で発生した、肉やその他の動蛋白が酸毒化して腸内に停滞し、そうした腐敗物質から有毒腐敗ガスが発生し、このガスを腸が、再び吸収した結果、これが血液に乗って末端細胞まで配られ、特に頭皮細胞や髪の毛を造る毛根細胞の血液成分は有毒化されて、髪の毛に意力を失わせ、ハゲの原因を作ります。
 腸マヒ状態から始まった整腸異常が実はハゲの原因だったのです。

 また大腸内にもこれ等の腐敗物質が停滞し、宿便状態を起こし、ここでも大腸内で再吸収が行われて、脱毛症状を更に悪化させます。 
 ちなみに、大腸癌をはじめとして、大腸に関連して起こる直腸癌やS字結腸癌は、総て大腸内で蓄積された腐敗物質が原因であり、動蛋白物質の摂取は脱毛症を招くばかりでなく、大腸癌の病因になることも忘れてはなりません。

 こうした現象は、そもそも欧米流模倣型の食生活に誤りがあり、今、女性をますます脱毛症へと、拍車を掛けます。髪は、いたずらに染色して、頭皮や毛根を苛める媒体ではなかったはずです。この点は現代の日本女性や、若者達も、多いに反省して欲しいと思います。
 要するに、女性の真当の美しさは、親から貰ったものを、自然にマッチした方法で工夫し、表皮だけを巧妙に作るのではなく、ごく自然に、無理なく表現することなのです。これが真当の美しさを長期に亙(わた)り、継続させる唯一の方法なのです。